(研究資料)

林試東北支場苗畑における長期堆肥連用試験

岩崎正明,及川伸夫,佐々朋幸

   要旨

 苗畑の“土づくり”に必要不可欠なものとしてワラ堆肥など有機質肥料の使用が挙げられているが,同時に それらのより効果的使用法開発に向けた研究・調査も大切である。
 林業試験場・東北支場では苗畑が造成された1961年以来26年の間一貫して,堆肥連用がもたらす土壌の理化学性の変化やスギ,アカマツ苗木を 連作した場合の生育状態を調べてきた。この間,必要に応じて土壌線虫の生息数調査,土壌呼吸量測定等も行っている。
 その結果,以下のことが明らかとなった。
 土壌の理化学性の変化:堆肥施用量の増加に伴って,三相組成のうち固相が減少,気相が増加して膨軟な土壌に変化すると同時に,土壌pHが高 くなり,置換性塩基の量も増加し肥沃な土壌へと変化した。
 スギ苗木の生育:当年生,2年生,3年生苗木とも堆肥施用によるプラス効果が認められた。すなわち,生長が良好なばかりでなく,堆肥施用量 の多い試験区で育苗された苗木は,乾燥に対する抵抗性も強い傾向がみられた。一方,堆肥無施用区ではしばしばMg欠乏症の苗木がみられMg欠乏 症の発生率は堆肥施用量の増加に伴い低下した。
 アカマツ苗木の生育:当年生,2年生,3年生苗木とも,堆肥施用によるプラス効果はスギのように鮮明でなく,堆肥施用量の多い試験区で育苗 された苗木が無堆肥区の苗木より生育状態が悪い年もあった。

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−林業試験場研究報告−(現森林総合研究所)
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