針葉樹材のロータリ単板切削 第3報

スギ,アカマツの単板切削性

高野 勉,木下敍幸

   要旨

 スピンドル径の小さい中小径木用の原木外周駆動方式 のベニヤレースを主に用いて単板切削試験を行い,スギ及びアカマツの単板切削特性,並び に最適切削条件を求める目的で実験を行った。主な実験項目は単板歩溜まり測定,目視によ る単板品質の評価,及び刃物条件による単板品質変化の観察であった。スギ,アカマツの単 板歩溜まりはそれぞれ72%,64%で,アカマツでは原木の曲がりなどの形状による歩溜まり 低下がみられた。単板品質に関しては,スギに比較してアカマツ単板の表面は平滑で,実用 上支障のない程度であった。スギでは辺材部の単板が心材部に比べて面が平滑であり,含水 率の高い部分からより平滑な単板が得られるといえる。また,スギの裏割れは,辺材部でそ の間隔が小さくなる傾向があった。針葉樹材は硬い筋を含むため,単板切削を行う際に刃物 の欠けが起きやすいが,スギでは刃物のすくい面側にベベルをつけた条件で,逃げ面側につ けた場合に比較して欠けが生じにくく,切削可能な単板切削長も大きかった。本研究で用い たベニヤレースには,原木外周駆動兼ベンディング防止ロール及びローラーディスクが備え られているが,スギについて両者のいずれを作用させないで単板切削を行ったところ,切削 中の原木の割れやチャックの空回りなどのトラブルが22本中19本にみられ,これらの装置が 円滑な切削を行う上で有効であることが明らかとなった。

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−森林総合研究所研究報告−
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