(研究資料)

スギ,ミズナラ埋もれ木の材質試験

三輪雄四郎,太田貞明,米延仁志

   要旨

 秋田県山本郡二ツ井町より出土したスギ・ミズナラ埋もれ木について 年輪幅,容積密度数,衝撃曲げ性能,静的曲げ性能を測定し,それらの材質を検討した。供試体が埋木した のは14Cの検定より1 550±130年前と推定された。スギは800年生以上と 推定され,年輪幅は300年以降1o前後とかなり緻密である。ミズナラは180年生と推定され比較的成長のよ い材である。容積密度数の平均値はスギで265s/m3,ミズナラで470s/ m3であり,通常材の文献値よりスギでは若干低い値を示したが,ミズナ ラでは通常材の文献値と大きな差はなかった。衝撃曲げ吸収エネルギーの平均値はスギで0.19sf・m/p 2,ミズナラで0.27sf・m/p2であり, スギ・ミズナラともに通常材の文献値より低い値を示したが,特にミズナラでは通常材の文献値より極端に 低くなり,埋もれ木の特徴であると考えられた。静的曲げ性能に関しては,スギの曲げ強さの平均は486sf /p2,曲げヤング率の平均は4.69×104 sf/p2,ミズナラの曲げ強さの平均は568sf/p2, 曲げヤング率の平均は7.96×104sf/p2 である。スギは通常材の値と比較してほぼ比重に相当する値である。ミズナラは比重の割りには低い値とな っているが,衝撃曲げ性能ほど大きな低下はみられない。

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−森林総合研究所研究報告−
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