アカマツ林床におけるモミジイチゴの繁殖季節相と繁殖分配(英文)

鈴木和次郎

   摘要

 86年生アカマツ人工林の林床に発達するモミジイチゴ 個体群において,開花・結実の繁殖季節相と繁殖への物質分配を調査した。個体群を構成す るサッカー(株個体)の約70%は6〜15年生であり,サッカーの平均齢は10.6年であった。 開花は,2年生地上茎において4月中旬に始まり,果実は1か月後に成熟した。地上茎当りの 開花・結実数と茎サイズの間には相対成長関係が認められた。これらの回帰直線から,茎サ イズが大きくなるにしたがって,果実数/開花数の値は増加した。結実期におけるRA(繁殖 器官への物質分配率)の平均値は4.6%で,この値は開花期の3倍に当たった。また,両時期 のRAとサッカーのバイオマス量との間には明らかな関係は認められなかった。繁殖体(種子) 数は,RAとは無関係にサッカーサイズが増大するにしたがって増加した。

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−森林総合研究所研究報告−
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