紀伊半島産と本州産ヤチネズミの核型的一致(英文)

北原英治,原田正史

   摘要

 紀伊半島産ヤチネズミ個体群の分類学的位置を調べるため,その染 色体を本州中部産ヤチネズミと比較した。その結果,紀伊半島産と本州中部産ヤチネズミの核型(2n=56,FN60) はほとんど同一であることが明らかとなった。すなわち,ヤチネズミ両個体群の染色体はとも2対のサブテロセ ントリック,1対のメタセントリック,24対のアクロセントリック,サブテロセントリックのX染色体とサブメタ セントリックのY染色体からなっていた。また,供試ヤチネズミの染色体をClethionomys rufocanus及び Eothenomys smithiiと比較することにより,本ヤチネズミはC.rufocanusよりもE.smithii に近縁であることが分かった。従って,ヤチネズミ両個体群は分類学的に同一種に属することが結論され,両者 を一括してEothenomys andersoniとするAIMI(1980)の考えを一層強く支持した。

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     −森林総合研究所研究報告−
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