山岳林における林道路線評価と林道規格に関する研究(第2報)

−林道路線評価による林道規格の決定−

澤口勇雄

   要旨

 第1報で報告した林道路線評価パラメータを用い,林道規格の決定 を2通りの方法で試みた。利用区域森林による方法は,「HACKの法則」と類似式を用いて,木材流量と林 業的交通量を評価して,林道規格に対応する面積基準を導いた。現在進めている林道は,林業経営的に は数百ha以上の面積を有しなければ経済的に不利で,低構造の作業林道の必要性が明らかにされた。小 規模森林では,トラクタやフォワーダによる伐出システムが,トラックによる伐出システムより有利で あった。複数路線で林道網を形成する場合の林道規格の決定を開発森林を導入して試みた。決定モデル は,木材流量と林業的交通量から路線区間の利用度を評価し,林道整備費,林道用地費,運材費,人員 輸送費を費用に生産費関数を設定した。適正林道密度の算定には,さらに集材費と歩行費を追加した。 試算例では,緩〜中傾斜では,林道1級は開発森林面積が数百ha,林道2級は数十haまで配置が可能であ った。コストミニマムの適正林道密度は,7.4〜32.8m/haであった。適正林道密度で,作業林道は43〜 78%を占め,林道1級と林道2級は1.6〜10.8m/haで終了した。複合的な林道費用と多くの経費を用いて も,生産費は林道密度に対して感度が鈍く,運材費や人員輸送費は,生産費の30%を超えて無視できな いこと,歩行費の節減効果が大きいことがなどが確認できた。林道密度が上昇すると,機動性に富むタ ワーヤーダの有利性が増した。本論文で示した林道規格の決定法による計画法を用い,複合的林道を採 用することでの経済的利益は大きいと結論した。

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−森林総合研究所研究報告−
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