九州阿蘇・九重地方におけるクヌギ混牧林に関する研究

松本光朗,本田健二郎,黒木重郎
要旨

  九州阿蘇・九重地方で行われているクヌギ混牧林は,シイタケ生産が盛んで原木の需要が高く,同時に放牧が盛んであるというこの地方独特の環境から生まれた土地利用形態である。本報告はクヌギ混牧林に関し,独自に行ってきた数々の試験・調査について取りまとめるのと同時に,これらの結果に基づき施業指針をとりまとめたものである。クヌギ混牧林においても針葉樹混牧林と同様に収量比数Ryと牧養力GCに相関があり,回帰式は GC=96.4-84.0Ryで表され,放牧利用は一般にはRy0.5,集約的な経営ではRy0.6以下で可能と考えられた。これらを基礎に,南小国地方の一般的なクヌギ混牧林を対象とした林分収穫予想表を作成した。これは一般の収穫予想表の項目に加え,牧養力を併記したところに特徴を持つ。その他,試験・調査結果から得られた知見としては,樹高2m程度までは食害を始めとする家畜による被害が発生する危険が高く放牧管理を注意深く行うこと,適切な放牧では萌芽成立本数が調節されるものの,必要があれば3年生頃から萌芽整理を加えることなどが上げられる。これらの結果や知見を総合し,クヌギ混牧林施業体系図として示した。

全文情報(2,501KB)

−森林総合研究所研究報告−
森林総合研究所ホームページへ