新しい帯鋸緊張装置における分銅の振動減衰特性と緊張力安定

藤 原 勝 敏

摘要

 分銅−レバー方式の帯鋸緊張装置においては、挽材中の帯鋸緊張力の変動によって生じる帯鋸の伸縮に追随してレバーが上下にスムースに動く機構になっているため、分銅が同時に上下に振動する。この振動によって分銅の重量変動が生じるため、帯鋸緊張力が変動する。緊張力の変動が大き過ぎる場合には、帯鋸の振動や走行不安定が生じ、挽材精度の低下や挽曲りが発生する。本研究では、緊張力の変動が少ない帯鋸緊張装置を開発するために、分銅−レバー方式の緊張装置にコイルバネとダッシュポットからなる振動吸振器を組み込んだ新しい装置を試作し、レバーに減衰自由振動を与えた場合の分銅の振動特性と帯鋸緊張力の変動特性を調べた。その結果、レバーの動きを阻害することはないが、レバーの動きを分銅に伝えにくい吸振特性に優れた帯鋸緊張装置を開発することができた。この装置では分銅の振動が大幅に抑制される。したがって、分銅の重量変動が極めて小さくなり、帯鋸緊張力の変動が大幅に抑制される。

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−森林総合研究所研究報告−
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