平成19年 7月11日
独立行政法人 森林総合研究所
森林総合研究所では、シベリア内陸部・バイカル湖の湖底堆積物中に含まれる化石花粉により、過去35万年間の亜寒帯針葉樹林(タイガ)の歴史を明らかにしました。
シベリア内陸部は地球温暖化の影響をもっとも強く受ける地域とされる一方で、タイガはかつて大気中にあった炭酸ガスを炭素として大量にストックしていることから、タイガに対する温暖化の影響を評価は世界的な重要課題です。
今回の研究の結果、バイカル湖周辺ではマツ・トウヒ・カラマツ属を主とするタイガが温暖期に1万年間ほど覆い、その後10万年近くタイガの消失が続くというサイクルの繰り返しが見られています。このサイクルは地球規模での気候変動に対応したものであり、本研究はシベリアにおいて植生変化の周期性を詳細に示した世界で初めての報告です。
今回の成果は、今後の温暖化によるシベリア地域の植生変化を高精度で予測するための重要な成果として注目されるものです。
なお、この研究は、科学技術振興調整費(1995-1999)「バイカル湖の湖底泥を用いる長期環境変動に関する国際共同研究」により、ロシア、アメリカ、日本の国際共同研究として行われました。
独立行政法人森林総合研究所 理事長 鈴木 和夫 |
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研究推進責任者: | 森林総合研究所 研究コーディネータ 加藤 正樹 |
研究担当者 : |
森林総合研究所東北支所 森林環境研究グループ |
広報担当者 : | 森林総合研究所 企画部研究情報科長 上杉 三郎 Tel:029-829-8130 Fax:029-873-0844 |
【湖底の堆積物から過去を探る】 地球温暖化が植生分布に及ぼす影響を評価・予測することは今後の大きな課題の一つです。とりわけシベリア内陸部は温暖化の影響をもっとも強く受ける地域の一つであるため、大きな炭素ストックを持つシベリアタイガに対する温暖化の影響を評価することは世界的に注目されている重要な課題です。
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