プレスリリース
 
平成21年 2月 6日
独立行政法人 森林総合研究所
 
「外来野生動物を知って農林業文化を守る」シンポジウム開催
 

 ポイント
  ・ アライグマなどの外来野生動物による農林被害を減らすため、外来動物の知
    られざる生態と防除方法の研究成果を紹介するシンポジウムを開催します。     

 
 

概要
  独立行政法人森林総合研究所は、2月11日に「外来野生動物を知って農林業文化を守る」シンポジウムを開催します。
  シンポジウムでは、外来動物(アライグマ、ハクビシン、ヌートリア)による被害をどのように防除するか、3年間にわたる研究プロジェクトの成果を報告します。動物の知られざる生態と具体的な被害防除方法について紹介しますので、被害に困っている方、対策を担当している方、動物に興味のある方などに広くご案内いたします。

予算:新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業、農林水産技術会議事務局(H18〜20)

 

日 時:   2009年2月11日(水)10:00〜16:30 (受付 9:00より)
会 場:   日本獣医生命科学大学附属動物医療センター5階C502教室
     東京都武蔵野市境南町1-7-1
     (JR中央線「武蔵境」駅南口より徒歩2分)
プログラム:   別紙のチラシに掲載しています。
主 催:   独立行政法人森林総合研究所、農林水産省農林水産技術会議事務局
共 催:   日本獣医生命科学大学野生動物教育研究機構
参加費:   無料(事前登録制で定員を超え次第締め切ります)
 
問い合わせ先など

 運営責任者: (独)森林総合研究所 研究コーディネータ  大河内 勇
 シンポジウム担当者:

(独)森林総合研究所 野生動物研究領域長  小泉 透
       Tel:029-829-8256  Fax:029-873-1543
       E-mail:gairai2009@ffpri.affrc.or.jp

 広報担当者  : (独)森林総合研究所 研究情報科長  中牟田 潔
       Tel:029-829-8130
 URL: 森林総合研究のホームページ(http://www.ffpri.affrc.go.jp/index-j.html)の
イベントコーナーに掲載されています。
 
経緯

  森林総合研究所は、独立行政法人、大学、県研究機関、民間会社、NPO法人など10機関と共同で研究プロジェクト「外来野生動物等による新たな農林被害防止技術の開発」を行ってきました。今般、社会に広く知っていただきたい成果が得られましたのでシンポジウムを開催します。

 
研究の背景と現状

  現在、国内では30種近い外来動物(外来哺乳類)の生態が野外で確認されています。多くは、ペットや展示用、毛皮利用のために輸入され飼育されていたものの、一部が逃げ出したり遺棄されたりして野生化したものです。なかでも、アライグマ、ハクビシン、ヌートリアによる被害は激しく、3種による2007年度の農作物被害は5億8千万円にものぼります(農林水産省生産局農業生産支援課鳥獣被害対策室調べ)。アライグマはトウモロコシ、メロン、スイカなどに大きな被害を起こしており、ヌートリアは水稲や大豆などを食害します。ハクビシンは特に、ブドウやカキ、ミカンなどの果樹被害が問題となっています。この他、アライグマやハクビシンは人家の屋根裏や床下に棲みつき、騒音や糞尿による悪臭被害を起こしています。現在、2005年に施行された「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)」などにもとづいて各地で駆除が行われていますが、被害は依然として深刻な状態にあります。

 
シンポジウムの内容

  外来動物の知られざる生態と具体的な被害防除方法について研究成果を発表します。シンポジウムは「外来野生動物を知って農林業文化を守る」と題し、3部構成で行われます。第一部の基調講演ではアライグマ、ヌートリア、ハクビシン研究の最近の取り組みと外来動物による被害対策の基本的な考え方を紹介します。第二部ではアライグマ、ハクビシン、ヌートリアの生態や行動の特徴を被害対策にどのように活かすかを解説します。ここでは、駆除には適切な時期があること、駆除の成果が上がってきても決して手を緩めてはならないこと、ねぐらを放置すると駆除の効果が上がらないこと、などの成果を紹介します。第三部では、被害対策の具体的なツールとして新たに開発された防護柵や、ため池の水を住民総出でかき出してヌートリアを根絶したユニークな活動などを紹介します。

 
参加申し込み方法

  参加は無料ですが、事前登録が必要です。定員を超え次第締め切ります。
  お名前所属返信用の連絡先を郵送、ファクス、e-mailのいずれかにてお知らせ下さい。

  【郵送で申し込みの場合】
    〒305‐8687つくば市松の里1
     森林総合研究所野生動物研究領域 宛

  【ファックス又はe-mailでの申し込みの場合】
    表題は「シンポジウム参加希望」、外来動物シンポジウム係宛に送信
     ファクス:029‐873‐1543
     e‐mail :gairai2009@ffpri.affrc.go.jp

 


参考資料 主な外来動物

アライグマ

アライグマ (ネコ目アライグマ科)

原産地は北米です。
もともとはペットとして輸入されましたが、飼育されていたものが逃げ出したり捨てられたりして、現在はほぼ全国的に発見されています。
トウモロコシ、家畜飼料、メロン、スイカ、イチゴ、養殖魚への食害は全国的に大きな問題となっています。この他、ニホンザリガニやサンショウウオ類など希少種を含む在来生物を捕食するため、その影響が心配されます。
特定外来生物に指定されています。

   
ハクビシン

ハクビシン (ネコ目ジャコウネコ科)

原産地は東南アジア大陸部から中国南部、台湾です。
日本では、分布が連続しないことや江戸、明治期における確実な生息記録が無いことから外来種とみられています。
木登りが得意で樹上をよく利用します。
ブドウなどの果樹や、トウモロコシなどの畑作物を食害します。

   
ヌートリア

ヌートリア (ネズミ目ヌートリア科)

原産地はチリ、アルゼンチン、ボリビア、ブラジル南部です。 
日本では毛皮採取のために飼育されていましたが毛皮の需要がなくなり、逃げ出したり捨てられたりして、現在は、西日本を中心に生息しています。
水稲やニンジン、サツマイモ、ハクサイ、大豆などの農作物を食害します。
巣穴を掘ることで堤防の強度が低下するなど、治水上の問題も心配されています。
特定外来生物に指定されています。

   
 

 

ポスター画像
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<PDFファイル:686KB>

 

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