木の温かさ
森林総合研究所構造利用研究領域 末吉 修三
●どんなじっけんなの?木や鉄などの身近な材料にさわって,木が持っているおだやかな温かさを実験で確かめてみましょう。
●じっけんのしかたとコツ
▼用意するもの
木,鉄,その他の身近な材料,ホットプレート,サーモグラフィー
▼じっけん方法
じっけん1
1 木や鉄などの板を机の上に置き,サーモグラフィーでそれらの表面の温度がはかれるようにセットします。
2 この板に10秒ほどさわってみて,温かいか冷たいかを感じてみます。
3 すばやく手をこの板から離して,手の平と板の表面の温度がサーモグラフィーでどのように表されるか確かめて,板の温かさや冷たさとどのように対応しているかを確かめます。
じっけん2
1 やけどをしない程度の温度で,木と鉄をホットプレートであたためて,サーモグラフィーで表面の温度をはかり,そのちがいを確かめます。
2 今度は,重い木と軽い木を同じようにあたためて,サーモグラフィーでその表面の温度をはかります。重い木と軽い木でどちらの表面の温度が高くなるかを確かめます。
サーモグラフイー:物からは目に見えないさまざまな光線がでています。その中の一つに赤外線というものがあります。この赤外線は,温度によって波長や強さがちがいます。このことを利用して,赤外線熱画像装置で赤外線のちがいをはかり,物の表面の温度がどのようになっているかを表すものです。
●気をつけよう
ホットプレートは,やけどをするほど熱くしませんが,長くさわらないよう気を付けて下さい。
●どうして,こうなるの?
木は,小さな細胞の集まりでできていて,その中の穴やすきまに空気がいっぱいたまっています。空気がいっぱい入ったふわふわのふとんをかけると温かいように,空気がいっぱい入った木も,さわると温かく感じます。
また,木をあたためると,木の中の空気が熱の伝わりをおさえてくれるので,木の温度は急に上がらずにおだやかに上がります。
●もっと,詳しく知るために
木について
1.日本木材加工技術協会関西支部編「木材の基礎科学」 海青社 (1992)
2.高橋 徹,中山義雄編「木材科学講座 3 物理」 海青社 (1995)
サーモグラフイーについて
1.http://www.crdc.gifu-u.ac.jp オンラインWeb教材「サーモグラフイーでみるもののあたたまりかた」を参照してください。
●おうちの方へ
熱伝導率(熱の伝わりやすさを表す値)で比べると,木は断熱材(グラスウール,ロックウール)より大きく,金属(鉄,アルミニウム)より小さい値を示します。つまり,木は,ほどほどに熱を伝えてくれる材料で,身近にあっても急に熱くなったり,冷たくなったりしない材料と言えます。このような木の性質は,小さな細胞の集まりの中に空気が満たされていることによるものです。
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