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発行:農林水産省林野庁
森林総合研究所
研究の“森”から タイトル No.2
1990.12.25

研究紹介「間伐材を利用する防風工の開発」


1.研究のねらい

 海岸沿いの農地や人家を強い風や塩風から守る目的で海岸林を育成する際,林帯前線の環境を緩和する目的で汀線側に作設する防風柵に間伐材を用いることとし,その構造と効果を研究した。

図−1 海岸林を保護する防風柵の模式図

図−1 海岸林を保護する防風柵の模式図

 

2.風洞実験による成果

(1)風速比の水平分布

 防風柵の模型は図−2に数例示したように横組型,縦組型で密閉度50,60,70,100%の各4組と合掌型1組を用いた。

図−2 防風柵模型の構造図

図−2 防風柵模型の構造図

 密閉型の防風柵(Y100)は柵付近の効果は大きいが,風下側の効果範囲は同じ型の密閉度70%の柵(Y70)の方が広い。合掌型の柵(G)は減少効果が劣る部分も認められるが風下側の効果範囲は最も広い。合掌型は前後脚列の隙間で風の乱れを小さくすることが効果範囲が広い原因と考えられる(図−3)。

図−3 防風柵模型の風速比の水平分布

図−3 防風柵模型の風速比の水平分布

(2)合掌型の防風柵の構造

 風上,風下とも傾斜している型より施工性のよい風上傾斜,風下鉛直の合掌型を採用し,防風効果の優れている風上脚の傾斜65度の型を現地に施工することにした(図−4)。

図−4 現地に施工した合掌型防風柵の構造

図−4 現地に施工した合掌型防風柵の構造

 

3.現地適応試験

 クロマツ林の風上側に高さ2.7m,延長100mの合掌型の防風柵を作りその効果を検討した。用いた部材は末口径10pのスギ間伐材である。柵直後のクロマツ林の樹高は1.5〜2m,柵より40〜50mの凹地では約6.5mであった。

 

(1)防風柵の防風効果

 クロマツの樹冠直上部で柵の風下側50mまで明らかな防風効果があった。樹冠上2mの高さでも50m付近まで柵の効果が認められた(図−5)。

図−5 間伐柵区と対照区の風速分布

図−5 間伐柵区と対照区の風速分布

(2)防風柵の空中塩分減少効果 防風効果と同様に柵の風下側50mまでの範囲では空中塩分が少なく柵の効果が認められた(図−6)。

図−6 間伐柵区と対照区の空中塩分減少率

図−6 間伐柵区と対照区の空中塩分減少率

(3)防風柵がクロマツの成長に及ぼす効果 柵の防風・空中塩分減少効果はクロマツ梢頭部の褐変被害を軽減し,成長を促進する。防風柵設置後2年間のクロマツ林の伸長は柵の風下側45mの範囲で防風柵の効果が認められた(図−7)。

図−7 間伐柵区と対照区のクロマツの伸長量

図−7 間伐柵区と対照区のクロマツの伸長量

 

4.まとめ

 風洞実験により合掌型の防風柵の構造を決定し,秋田県酒田海岸で現地適応試験を行った。その結果,防風柵による防風効果・空中塩分減少効果及びクロマツの成長に及ぼす効果を確認した。

注:以上は林野庁の依頼により昭和62年度から平成元年度まで行なった技術開発課題の成果報告である

(詳細は平成元年度国有林野事業特別会計技術開発調査事業報告書を参照して下さい)。

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