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森林総合研究所
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第101号
平成14年3月31日発行
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オオタカの生態と保全

―オオタカは豊かな自然の指標となるか―

オオタカとは?

 オオタカはワシタカ類に属する肉食性の鳥です(写真1)。大きさはカラスほどで,日本全国に分布しています。主に里山に生息し,その中で様々な動物を餌としています。餌動物を狩るときには地上高1m程度の低いところを飛びます。

 

今なぜオオタカか

 オオタカは,里山の消失など生息環境の悪化によって生息数が減っており,レッドデータブックで絶滅危惧種・類(絶滅の危険が増大している種)に指定されています。

 

オオタカの保全に必要な情報―まだ分かっていないこと

Q.1 繁殖するのに,どのくらいの広さの地域が必要か?

Q.2 どのような環境で繁殖するのだろうか?

Q.3 どのような餌をどのくらいとっているのか?

写真1 オオタカの雌
写真2 背中に発信器を装着したオオタカ
写真1.オオタカの雌
写真2.黒い布袋で目隠しして背中に小型電波発信器を装着したオオタカ

捕獲と追跡調査

 これまでに30羽のオオタカを捕獲しました。捕獲したオオタカには小型電波発信器(20g)を背負わせて行動を追跡しました(写真2)。これらのオオタカは無事繁殖に成功しました。この発信器は3年たつと,オオタカから自然に外れるようになっています。

 

オオタカの行動圏

 行動圏とはオオタカの繁殖に必要な地域のことです(図1)。繁殖期にオオタカを追跡したところ,行動圏は平均1.2km2であることが分かりました(Q.1の答え)。

 オオタカは防風林や孤立した林の点在する農耕地帯に生息することが分かりました。また,都市化の進んだ地域は避けていました(Q.2の答え)。

図1 ある1羽の雄の繁殖期の行動圏

図1.ある1羽の雄の繁殖期の行動圏

オオタカの餌

 オオタカの巣を小型ビデオカメラで撮影し,どのような餌を雛に与えているか調べました。オオタカは23種の鳥類と6種の哺乳類(エゾヤチネズミやエゾリスなど)を餌としていました。その中で,スズメやシメくらいの大きさの鳥を多く餌としていました(図2)。また,1羽の雛は巣立つまでに約7kgの餌を必要とすることが分かりました(Q.3の答え)。

図2 オオタカが巣に運んだ餌

図2.オオタカが巣に運んだ餌

研究から何が分かったのか

 オオタカが雛を育て生きてゆくには,畑,水田,森林を含む広い環境があることと,そこに多種の餌となる生物が大量に生息していることが必要であることが分かりました。このことは,オオタカが他の生物の保全上の傘の役割を果たしているアンブレラ種であり,自然が豊かであることを示す指標の一つであると考えることができます。オオタカの生息地を保全することは,生態系の健全性を守ることにつながります。

 今後,オオタカの生息地域と生息していない地域を区分するとともに,両方に生息する生物を比較することにより,オオタカの生息地域の自然の豊かさを具体的に明らかにする予定です。


企画・制作:北海道支所 研究の“森”から No.101 平成14年3月31日発行
編集・発行:森林総合研究所企画調整部研究情報科広報係
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