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発行:農林水産省林野庁
森林総合研究所
研究の“森”から タイトル No.18
1992.06.26

樹形と幹の成長


 林木の成長や樹形を支配する法則を明らかにするため,スギ,ヒノキ,カラマツなどの針葉樹を対象に,樹形と成長の関係を解析した結果,以下のとおり,たいへん興味ある関係が明らかになりました。

 まず・・・・樹木を,梢端から根元に向かって一定間隔で輪切りにし,各層ごとの幹の量(S(z))と,これに合流する枝の量(B(z))及び葉の量(Γ(z) )を秤り,枝の本数や枝末口径,年輪などを調べます。これらのデータを用いて・・・・

図1

枝の分布は,

 各層ごとの生枝(○)と枯枝(●)それぞれの本数(本数密度)の合計は,樹種によりほぼ一定の値をとることが分かりました。

 また,生枝と枯枝の各層ごとの断面積合計(枝元口断面積密度)と,梢端からの距離との間に指数関数の関係があることが明らかになりました。

図2

樹幹の形は,

 梢端部の樹幹の形と,樹冠下の樹幹の形から,樹幹全体を表現する関係式が誘導されました。

 実測値とたいへんよく合います。

1/S(z) = 1/S0 exp(z/α) - 1/S(zo) exp ((z-zo)/β)

 図を90度時計方向に回転して見ると,樹幹の形状がうかがえます。

図3

樹幹の形と葉・枝・幹の量との関係は,

 ある層の幹の断面は,その上にある梢端までの葉・枝・幹の全重量を支えているという考え方から,下式が誘導されました。この式は,「ある層の樹幹の広がり率は,その層の幹及びこれに合流する枝・葉の合計量に比例する」ことを意味しています。

dS/dZ =1/b (Γ(z) + B(z) + S(z))

 

樹幹の成長は,

 年輪解析の結果から,ある層における幹の量(S(z))と,梢端からその層まで幹の成長量を積算した値との関係から,次式が得られました。

∂S/∂t = κ∂S/∂z

図4

 これは,「成長量は,樹幹の広がり率(樹幹の太り具合い)に比例する」ことを意味し,さらに,「樹幹は,樹高成長とともに,全体が上方向に平行移動する形で成長し,幹の形は変化しない」ことを表しています。

これらの法則は,基本的には,広葉樹にも適用できるようです。


作業道上を流れる雨水の量と排水


 林道や作業道の路面の浸透能は小さいため,降雨水はほとんど地中に浸透せず路面上を流れます。大量の降雨があると山腹から流下した雨水も路上に集中し,場合によっては路面路体を崩壊させ,車両の通行を不能にします。さらに,雨水と土砂が下流域の山腹面へ流出して山腹斜面を荒廃させることもあります。このような災害を未然に防止するために,合理的な位置に排水溝を設け,路面上に流入した雨水を路面外に排水することが必要です。

 作業道をもつ4箇所の試験地において,5年間にわたる降雨強度と路面流水量を観測しました。

 得られたデータをもとに,確率過程の推定に利用されるカルマンフィールタ理論を応用し,逐次変動する雨水量と路面から排出される水量との比,つまり路面流出率を計算し,道沿い山腹から路面上へ流出する地表流の流路長を求め,特性曲線法により流出量を計算する電算機プログラムを開発しました。

図5

 このモデルを用いて路面上を流れる雨水の量を推定するには,事前に,対象地域の降雨の特性を把握するとともに,単位流域ごとに作業道を区分して,各々の長さと勾配を測り,あわせて山側の地形や地質,土壌を調査します。

必要なデータ:流域山腹面積・傾斜度,作業道の長さ・平均勾配,一定時間ごとの降雨量,山腹及び路面の粗度係数。

図6

電算機で次の計算をします。

  路面流出率の計算

  道路沿い山腹における地表流の流路長の計算

  道沿いの山腹からの流出量の計算

  路面からの流出量の計算

  路面流出量の計算

      (繰返し計算)

 左図は,当所千代田試験地の作業道における流出量の実測値と計算値を比較した例です。降雨強度(棒グラフ),流出量の測定値(実線)と計算値(破線),路面流出率(黒点)及び地表流の流路長(白丸)を示していますが,流出量の測定値が計算値とよく一致しているのが分かります。

計算結果から,対象作業道上に必要な横断排水溝の規模と施工箇所数を計算することができます。

 以上の計算法は,切取法面沿いに側溝のある一般の林道にも応用できます。

図7


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