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発行:農林水産省林野庁
森林総合研究所
研究の“森”から タイトル No.33
1995.01.18

森林のタイプと地形の関係を探る


 森林にはさまざまなタイプがあります。それは,樹木の種類や密度,樹高などの要素によって分類されます。たとえば,北海道においては沢筋にヤチダモやヤナギ類の広葉樹が比較的密に,尾根筋はトドマツのような樹高の高い針葉樹が多く成立する,ということが経験的に知られています。

 それでは,このような森林のタイプの差異はどこから生じてくるのでしょう?このような,森林の成立条件を広範囲な地域を対象に探る研究の第1歩として,森林のタイプと地形の関係を調べてみました。この解析に利用したのは,最近普及が進んでいるGIS(地理情報システム)というコンピューターを使用した地図に関するデータベースシステムです。次に,札幌近郊の国有林で,立木蓄積の高い針葉樹・広葉樹林分と地形の関係の解析内容を順を追って説明します。

手順1 空中写真から森林のタイプ分けを行い,立木蓄積の高い針葉樹林分,広葉樹林分をGISへ入力します。地形図の等高線(20m間隔)も入力します。

入カした地形図の出力

手順2 3次元的解析を行うため地形図を三角形不規則ネットワーク(TIN)へ変換します。これは,等高線から地形を表現するため作成された三角形で,各三角形とも方位角,傾斜角,面積を持ちます。

TINによる地形図

手順3 TINの上に針葉樹林分・広葉樹林分を貼り付けることにより,3次元表示が行えます。これにより視覚的に,各林分の分布状況を把握できます。

林分分布の3次元表示

手順4 TINより方位区分図,傾斜区分図,標高区分図を作成し,針葉樹林分,広葉樹林分と重ね合わせます。これを各図ごとに集計しました。例として,方位区分図の集計結果を示します。

方位区分図の集計結果

 集計の結果,次のようなことが言えます。

 針葉樹林分では,全体(図中の実線)を大きく上回っている方位はWであり,それを中心として両側になだらかに下降し最低面積割合の方位はEとなっています。広葉樹林分では,全体を大きく上回っているのはNWで,Sで最低となっています。両林分ともややずれがあるものの,おおむね西から北斜面に多く分布し,南斜面には少なくなっています。

 一般的に,方位と材質の関係は,針葉樹・広葉樹とも北向き斜面に良材が多く南向き斜面では少ないとされています。これは,上述の集計結果と関係が深いと考えられます。すなわち,西から北向き斜面では高蓄積な林分が多いため良材が多く,南向き斜面は高蓄積な林分が少ないため良材が少ないということです。GISを利用することにより,広範囲な地域のさまざまなデータを集計できるため,今まで経験的に知られてきた事項を証明することもできます。

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