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発行:農林水産省林野庁
森林総合研究所
研究の“森”から タイトル No.44
1996.01.22

高性能林業機械化研究から

―タワーヤーダの安全作業のために―

 我が国の林業の機械化は,地形条件の厳しさや路網の整備の遅れもあって必ずしも十分ではありませんが,高性能林業機械化には大きな期待が寄せられ,機械化研究の重要性が高まっています。

★タワーヤーダのガイラインのはたらき
 タワーヤーダは元柱を装備した集材機ですが,そのガイラインの役割は,従来型集材機と全く異なります。元柱にかかる力は,従来型集材機では図1の上のようになります。すなわち,最も張力レベルの高い主索は専用のアンカー(スタンプ:切株)で保持されるため,主索張力により元柱にかかる力は大部分が元柱垂直圧縮力になるのが特徴です。従って,ガイラインは主索と作業索の合力により,元柱にかかる水平分力を打ち消すだけの役割があればよいことになります。一方,タワーヤーダ(図1下)では,主索を含めたすべての索が,タワー基部にある巻き取りドラムで保持されています。また,主索と作業索は同じ集材線方向に向いており,それぞれの張力が合わさってタワーを転倒する力となって働きます。ガイラインはこの転倒力に対する唯一の装置ですから,タワーを保持するために必要不可欠なものとなります。

図1 元柱とタワー付近にかかる力

図1.元柱とタワー付近にかかる力

★ガイライン張力の実測例
 図2は主索と作業索(ホールライン)の各1本の索張り方式で,ガイラインを3本設置した場合(図1下)の索張力を実測した例です。ガイラインは集材線後方に,ほぼ水平でかつ左右均等に設置し,長さは約10m,開き角度は±35゜,端から番号がつけてあります。GYL2が集材線にほぼ対向するガイラインであり,GYL1とGYL3がそれぞれ左右35゜に張ったものです。図によると,3本の張力の大小の順序は常に同じであり,また集材木の重量が索に負荷された場合の張力の増加もほぼ同じ傾向を示しています。このように,ガイラインに同一の種類のロープを使い,ほぼ同じ距離で索張りする場合,架設時に各ガイラインの基礎張力にアンバランスがあると,その後の集材作業中にも残ってしまうことになります。

                   

図2 張力測定波形の例

図2.張力測定波形の例

★ガイラインの設置方法
 作業条件の違いで,ガイラインの設置方向と長さが制限を受けますが,それぞれのガイラインが同じ安全率を保てるようにすることが大切です。そのためには基礎張力の調整とガイラインの調整など,次のような工夫が必要です。
1.側方のガイラインは,主索の真後ろのものより大きい基礎張力で張る。
2.側方のガイラインは,主索の真後ろのものより短く張る。
 いずれにしても,架線に最大負荷がかかった場合,それぞれのガイラインに均等な張力が負荷されることが基本です。

開発森林の考え方を導入した
林道網の配置計画法

★高性能機械化に対応した林道網の配置
 今までの林道の配置法は,まずコストミニマムの最適林道密度を決定し,その密度を目標に路線配置を行うのが一般的な手順でした。この方法は,林道密度が低い段階での幹線林道などのマクロ計画には有効な方法です。ここで紹介する方法(新方式)は,まず路網配置を行い,その後に林道整備水準を決定するものです。例えば,高性能機械化に対応した高密度な林道網を計画しようとする場合,日本の山岳林のように複雑で不均衡な地形や森林の条件下では,高性能機械作業を考慮して実際の路網配置を行い,その後に林道費や集材費などを算定し,それらを基に林道網を評価し,理想的な林道整備水準を決定するほうが合理的です。

★複数の林道規格で林道網を計画する
 林道網を形成する路線にはいろいろな規格のものが含まれます。利用度の高いものは高規格で,低いものは低規格の林道で整備水準を決定するのが合理的です。現在の一般的な路網計画法は,利用区域森林1)の規模によって決める方法で,補助林道などでよく見られるものです。この方法は,単一路線計画なので,計画路網密度が高くなり,林道網を整備する段階で適用に無理がでます。ここで紹介する林道配置計画法は,開発森林2)の考え方を導入していますので,林道網全体の経済合理性をよりいっそう追求し,複数の林道規格による林道網計画を可能にしました(図1)。
1)利用区域森林:林道によって林業経営を依存することになる区域。
2)開 発 森 林:路線区間の上流域の森林。

    計画例(茨城県高萩地区)
図1林道規格別の合理的林道網配置例

図1.林道規格別の合理的林道網配置例
  
林道規格は路線区間の利用度を
評価して決定されます。

図2林道密度と生産費の関係  図3林道密度と集材システムの選択割合

図2.林道密度と生産費の関係      図3.林道密度と集材システムの選択割合
  
(T)生産費,(A)林道費,(B)運材費,       (a)小型タワーヤーダ,(b)中型タワーヤーダ,
(C)人員輸送費,(D)集材費,(E)歩行費      (c)大型集材機,(d)トラクタ,(e)中型フォワーダ

 木材の生産費(T)は,林道費(A),運材費(B), 人員輸送費(C),集材費(D),歩行費(E)で構成されます(図2)。 この例は,高性能機械化に対応させて,林道密度を変化させた 場合の生産費を計算したものです。仮に林道密度を40.0m/haに 引き上げても,コストミニマムの林道密度19.1m/haの生産費に 比較して7%上昇ですみます。なぜなら,細部の林道は低規格 で計画され,林道密度が高くなると集材距離が短くなり,コス ト的に有利なタワーヤーダ集材システムが選択される割合が増 加するからです(図3)。


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