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発行:農林水産省林野庁
森林総合研究所
研究の“森”から タイトル No.58
1997.06.25

「コンピュータによる製材作業の自動化」を
目指す

-熟練作業員のノウハウを科学する-


国産材製材方式の変化


 多品目少量生産型 
 これまでの国産材製材では,作業員が丸太の性質に合わせて,できるだけ高品位な製品をねらい,かつ歩止まりも高くなるような木取り方法を採用する,いわゆる労働集約的な多品目少量生産が行われてきました。
 特に天然秋田スギや吉野スギの直径が80〜100pにもなるような銘木においては,一本の丸太の製材に半日から一日もかけることも,まれではありません(写真1)。

写真1 熟練作業員による天然秋田スギの製材

写真1. 熟練作業員による天然秋田スギの製材


 少品目多量生産型 

 近年,これまでの多品目少量生産型の生産方式を支えてきた良質丸太や,熟練作業員が減少してきています。一方で,戦後造林されたスギが成熟期に達してきており,今後中小丸太一般材の供給増が見込まれています。
 こうした背景から,国産材製材工場では,従来のように製材していては採算が取れなくなってきており,少品目多量生産型の生産方式を採用するなど,生産方式の抜本的な改善が求められています。最近では,背板処理工程や製品の搬送ラインなどの自動化が進んだ大規模製材工場が現れてきています(写真2)。

写真2 自動化の進んだ大規模製材工場

写真2. 自動化の進んだ大規模製材工場


ニューラルネットワークとは?
 ニューラルネットワークは,人工神経回路網とも呼ばれており,生物の神経細胞(図1(a))で行われている情報処理原理を応用したものです。(図1(b))。家電製品の宣伝によくでてくる「ニューロ」というのもこの手法の応用です。人間の脳は,神経細胞のネットワークが様々な経験をもとに学習していくことで,複雑な問題にも対処できるようになっていきます。多くの条件を総合的に判断して作業を行う製材作業の解析には,この手法を応用することが有効であると考えられます。

図1 (a)生物の神経細胞(モデル図)  図1(b) ニューラルネットワーク

(a) 生物の神経細胞(モデル図)  (b) ニューラルネットワーク

図1. 生物の神経細胞とニューラルネットワーク

コンピュータも学習する?

コンピュータも学習する?


ニューラルネットワークを応用した製材作業の解析例
 


 同じような形質の丸太を製材しても,熟練作業員と未熟作業員とでは作業時間や製品の品質に違いがでてきます。そこで,図2のようなニューラルネットワークモデルを構築し,VTRによる作業測定で得られたデータを用いてコンピュータに両者の作業特性を学習させ,その違いを表現することを試みました。その結果,熟練作業員は丸太の形質にあまり影響されず,ほぼ同じペースで作業を行っているのに対し,未熟作業員の場合には丸太の形質(特に曲がり)に影響されて,作業時間や製品の品質がばらつくことなどが分かりました。今後は,熟練作業員が丸太の形質に応じて実際に丸太をどのように扱っているかを表現できるようにモデルを改良して,製材機械をコンピュータ制御するために必要な作業特性のデータ化を進めていきたいと考えています。

図2 階層型ニューラルネットワークモデル

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