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発行:農林水産省林野庁
森林総合研究所
研究の“森”から タイトル No.59
1997.07.18

古紙から木質材料をつくる

―新聞古紙からのコンクリート型枠材の開発―

古紙をもっと有効利用しよう
 
 最近,古紙がだぶつき,古紙回収事業が滞っているニュースをよく耳にします。貴重な木材資源である古紙利用が心配される事態が生じています。古紙を再生紙以外の用途に用いることは,都市ゴミを減らし,リサイクルを促進する上でも重要な意義があり,特に,これまでラワン材を用いたコンクリート型枠にとって代わり,古紙から木質材料を製造し,熱帯材の使い捨てが問題化している分野で使用することができれば,まさに一石二鳥といえるでしょう。


古紙ボードの製造技術

 古紙ボード製造のフローを図1に示します。

図1 古紙ボード製造のフロー


図1. 古紙ボード製造のフロー
 新聞古紙を排水汚染のない乾式法で解繊し,そのファイバーをオゾン処理して表面を活性化した後,接着剤を混合,熱圧成型して,ファイバーボードを製造します。新聞古紙は機械的に解繊されたパルプからできていて,顕微鏡で見た繊維表面はリグニンでおおわれています(図2)。ボードにするには,繊維の親水性を高め,接着剤との混和性を向上させる必要があります。そこで,繊維表面のリグニンを改質するためにオゾン処理を行います(図3)。
図2 新聞用紙の切断面の紫外線顕微鏡写真

図2. 新聞用紙の切断面の紫外線顕微鏡写真

図3 リグニンとオゾンの反応

図3. リグニンとオゾンの反応

 実験では,古紙重量当たり0.5%のオゾンを添加した場合に最適なボード強度が得られています。このボード製造法は,オゾン処理工程を除けば,既存のボード製造ラインで十分製造可能です。
 このように,古紙を原料とすると,通常のファイバーボード製造に必要なチップ化や蒸煮解繊といったエネルギー消費量の大きい工程がいらなくなるため,大変有利な方法と考えられます。

ボードの新たな用途開発に向けて
新聞古紙からのファイバー及び熱圧成型して得られたボード

新聞古紙からのファイバー及び熱圧成型して得られたボード

古紙からの新たな木質材料の開発

桟木を取り付けコンクリート型枠として使用

桟木を取り付けコンクリート型枠として使用

床,家具,緑化用培地など古紙の多目的利用へ

古紙ボードを芝生の育苗床として使用

古紙ボードを芝生の育苗床として使用


 できたボードの表面をコンクリートをはがしやすくするために塗装し,桟木を取り付け,コンクリート型枠の代替品として使用した結果,古紙製型枠は実際の建築現場での使用に耐え,しかも数回の転用も可能であることが実証されました。コンクリート型枠は使用条件が強度・耐水性とも厳しいものが要求されるため,この使用に耐え得たことは他の用途,家具や建築部材としても十分使用できることを示すものです。この木質材料は型枠だけではなく,高密度から中密度のものは床材や家具材に,また低密度のものは緑化用培地としても使用可能であることが明らかになりました。
 その他に,古紙を利用したファイバーボードを用いた芝生の育苗床の試験や脱臭材として使用する試みとして,酸化還元機能を持たせるために鉄イオンを結合させたところ,低濃度のアンモニアや硫化水素に効果があることを確かめました。さらに,古紙を利用した製品の最終処分法として「堆肥化」についても検討しました。まさに,環境にやさしい材料の誕生といえるでしょう。
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