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発行:農林水産省林野庁
森林総合研究所
研究の“森”から タイトル No.65
1998.03.27

新しい森林管理技術

― コンピュータを利用した森林管理 ―

 森林に関する情報として,帳簿と地図とがあります。帳簿には,森林の住所にあたる位置を示す記号(森林区画記号<林班,小班など>),森林の所有者,植栽されている樹種,森林の年齢(林齢)というような情報が記録されています。また地図には,森林の所在する位置を示す森林区画記号,林道や作業道の位置などの情報が記載されています。これまで,これら帳簿や地図は個々別々に管理されていました。そのため,目的とする個所の森林の現在の状況(現況)を調べようとした場合,まず帳簿で森林区画記号や森林の所有者,植栽されている樹種,林齢,面積等の情報を確認した後,森林区画記号をもとに地図を用いて,その森林の位置,林道や作業道からの距離等をチェックしなければなりませんでした。さらにその隣の森林の現況を調べようとする場合にも,地図に記載されている森林区画記号を利用しながら,帳簿から森林の所有者などの情報を引き出す,というように繁雑な作業の繰り返しを必要としていました。
 森林を所有している人が自分の森林に対して関心の高い場合,記憶の中で自分が所有する森林の帳簿と地図情報を一元的に管理しています。しかし,自分の森林に対する関心が薄れると同時にその情報についても関心が少なくなってしまい,情報が離散してしまいます。そうなると,ある場所の森林は誰の所有であったのかすら分からなくなってしまいます。そこで,経営研究室では,パーソナルコンピュータの持つシステムを利用して,森林に関する帳簿と地図情報を一元的に管理する技術の開発を進めてきました。その概略を以下に示します。この図で示される樹種構成図は,帳簿と地図との両方に含まれている森林区画記号である林班・小班の記号をもとに,帳簿に記載されている樹種の情報を地図に表したものです(図1)。

写真:帳簿
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       図1 コンピュータシステムの概略・樹種構成図(下図参照)・
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地図情報

樹種構成図樹種構成図

図1. コンピュータシステムの概略
 また,ある森林区画において下刈りや間伐などの施業が行われると,森林施業を行った年度,森林施業の種類などの情報が生まれます。この情報をパソコンに蓄積してデータベース化を図ります。この森林施業の情報をもとに現況を示すと図2のようになります。この図には間伐の現状が表されていますが,この図の西側では林道・作業道から片側約100mの範囲で活発に実施されていたことが明らかになりました。さらに,南側では,林道・作業道が未開設のため,間伐施業もほとんど行われていなかったことが一目で明らかになりました。

図2 間伐施業位置と林道・作業道

図2. 間伐施業位置と林道・作業道

 このようなシステムを利用することによって,森林の現況がどのようになっているのか,どのような森林施業が行われてきたのかというような種々の情報を視覚的にとらえることが可能となり,森林管理を容易にかつ効率的に行うことができるようになります。また,このような森林管理にとどまらず,林道・作業道の設計を進めたり,各種森林施業を効率よく行う等,森林計画を進める上で非常に有効な手段となります。

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