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発行:農林水産省林野庁
森林総合研究所
研究の“森”から タイトル No.71
1999.01.22
 

急傾斜地で活躍する林業用モノレール

 高性能林業機械の導入により,森林作業の機械化は飛躍的に進みました。しかし,急峻な地形の多いわが国では,林道や作業道などの開設が進まず,機械化から取り残された森林地帯も数多くあります。これらの地域では,現場までの険しい道を歩いて通勤し,足場の悪い急斜面で作業が行われています。通勤や移動に伴う疲労が作業能率の低下だけではなく,労働安全低下の大きな原因にもなっています。

図1 林業用モノレール

図1. 林業用モノレール

 これらの問題を解決する手段として,急傾斜を楽に,しかも安全に昇り降りできる林業用モノレール(図1)が開発され,人員運搬用機械として導入が進められています。森林総合研究所では,導入状況の調査(図2,図3)や強度・耐久性に関する試験を実施し,人員を安全・確実に運搬するための研究を行い,機械の設計指針や「安全管理要綱*」の策定などに活用されています。(*労働省基発第261号)

図2 年度別林業用モノレールの導入台数

図2. 年度別林業用モノレールの導入台数  

図3 地域別林業用モノレールの導入台数

図3. 地域別林業用モノレールの導入台数

 

林業用モノレールの性能と利点

 林業用モノレールは,傾斜30〜45度の斜面を昇り降りすることができます。自動車のように速くはありませんが,徒歩通勤と比較すると,平均傾斜が大きくなるほど,路線延長が長くなるほど,導入した効果が現れます(図4)。

図4 現場への到達時間の比較

図4. 現場への到達時間の比較

 また,自由な路線設計を行えるため,障害物があるときには迂回することができ,支障木を伐倒する必要もなく,また,レールを支えている支柱は,直接地面に打ち込むだけなので,自然にやさしく,山を荒らすこともありません。

 

傾斜地用トラムカーの開発とトラムシステム

 傾斜地用トラムカーはモノレールの利点を生かし,急傾斜地での機械化を図るため,森林総合研究所が開発した“軌条形ベースマシン”です(写真1)。

写真1 傾斜地用トラムカー

写真1. 傾斜地用トラムカー

 45度の傾斜を人員4名,1トンの荷を積載し,分速50mの速さで走行します。作業員や重量物を運搬するため,車両やレールには,多輪駆動,油圧駆動,傾斜対応型エンジン,安全確認システム,主副2本レール,ローリング防止などの機構・機能を搭載しており,性能試験や現地試験などの結果,安全性・耐久性に関する性能の高さが実証されました。

 また,油圧駆動を採用しているので,油圧装置を動力源とした各種森林作業アタッチメントを装備することができ,現在その作業機の研究開発を行っています。同時に,トラムカーやモノレールを利用した新しい森林作業システム(トラムシステム:図5)の考案も進めています。

図5 トラムシステム

図5. トラムシステム

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