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発行:農林水産省林野庁
森林総合研究所
研究の“森”から タイトル No.83
2000.05.19

余暇活動のために

どんな森林を整備すればいいの?

 

- 観光・レクリエーションのための森林管理の方向性 -


 皆さんは,休日にどのような余暇活動を楽しんでいますか?

 レジャー白書によると,最近の余暇活動の参加人口の上位は,表1の通りだそうです。森林を管理する人たちは,この中から,森の中に直接入る余暇活動だけに目を奪われがちです。しかし,それ以外にも,実に幅広い余暇活動が我が国で行われていることに注目して下さい。

表1. 我が国で盛んな余暇活動 (平成10年度:上位20位+α)

順位

余暇活動種目

万人

1

外食(日常的なものを除く)

6790

2

ドライブ

6250

3

国内観光旅行(避寒・避暑・温泉など)

5640

4

カラオケ

5270

5

ビデオの鑑賞(レンタルを含む)

4880

6

音楽鑑賞(CD・レコード・テープ・FMなど)

4510

7

動物園・植物園・水族館・博物館

4020

8

バー・スナック・パブ・飲み屋

3950

9

ボウリング

3750

10

園芸・庭いじり

3730

11

映画(テレビは除く)

3660

12

遊園地

3560

13

宝くじ

3400

14

ピクニック・ハイキング・野外散歩

3310

15

テレビゲーム(家庭での)

3210

16

トランプ・オセロ・カルタ・花札など

3120

17

体操(器具を使わないもの)

2990

18

海水浴

2490

19

催し物・博覧会

2450

20

パソコン(ゲーム・趣味・通信など)

2390

圏外

スキー

1390

写真の制作

1200

ゴルフ(コース)

1180

登山

850

オートキャンプ

720

文芸の創作(小説・詩・和歌・短歌・俳句など)

540

スノーボード

430

フィールドアスレチック

430

ハンググライダー・パラグライダーなど

20

 余暇活動には,ハイキングのように森林に直接入る活動もあれば,ドライブのように直接入らないまでも風景として森林が大切な役割を果たす活動もあります。また,海水浴や外食など,一見森林と全く関係ない活動でも,周囲の緑が心地よい環境を醸し出していれば満足度がアップする活動がたくさんあります。

 我が国には森林を適切に管理するために,森林計画制度があります。森林計画の担当者はこの幅広い余暇活動が,どこでどのように行われているのかを的確に把握し,活動の満足度を高めるために,どのような森林整備を行えばよいのかを考えなくてはなりません。

 実際,林野庁は,平成8(1996)年に「森林資源に関する基本計画」を改訂し,森林と人とのつながり(森林と人との共生)を,今まで以上に重視するようにしました。

 繰り返すと,森林計画の担当者は,従来行ってきた直接的なレクリエーション林の管理だけではなく,幅広い余暇活動を対象にした森林整備を行う必要があるのです。

 要するに,森林愛好家のためだけではなく,例えば歴史愛好家が史跡巡りをするときに,森林がどのように整備されていれば快適なのかといったことなどを,真剣に考える必要が出てきたのです。

 しかしながら,これまでは,そのような場所がどこに分布していて,森林を管理する上で何に配慮すべきか非常に分かりにくい状態にありました。

 そこで,茨城県の「霞ヶ浦森林計画区」を対象に,フィルタリング法という地理情報の処理技術を応用して,森林計画上配慮すべき観光レクリエーション地を定量的に明らかにする手法を開発しました。その結果が図1です。今回の算定では,霞ヶ浦地域には高得点の場所が75か所見いだされ,図2のように,六つの類型に分類できることが分かりました。

図1 霞ヶ浦流域の観光レクリエーションポテンシャル

図1 霞ヶ浦流域の観光レクリエーションポテンシャル

図1. 霞ヶ浦流域の観光レクリエーションポテンシャル

図2 類型別に見た重要地域の数

図2. 類型別に見た重要地域の数

 今回の解析結果と,茨城県の他地域で行った結果とを比較すると,霞ケ浦地域は,城址や社寺,古墳,貝塚などの歴史文化的な資源が特に豊富であることが分かりました。従って,この地域の森林整備を行う際には,他地域よりもこれらの歴史文化資源を大切に取り扱う必要がありそうです。

 実際,国指定史跡の陸平貝塚を守る歴史愛好家たちが周辺の里山環境を一体的に守る活動を始めたり(美浦村:図1の37番),鎮守の森を荘厳さだけではなく生態的な視点からも保全したり(真壁町:図1の11番)と,近年草の根レベルでそのような行動が目立つようになりました。

 平成10年度から,「市町村森林整備計画」が変更され,森林整備の方向性を,市民参加のもと,市町村単位で考えることができるようになりました。

 今回開発した手法をもとに,余暇活動と森林との地理的関係が全国で明らかにされ,よりよい森林と人との共生のための整備が行われることを望みます。

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