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発行:農林水産省林野庁
森林総合研究所
研究の“森”から タイトル No.84
2000.05.31

木質ボードの高性能化


木質ボードとは?

 木質ボードとは,細かく砕いたり,繊維化した木材を原料にして製造した木質材料のことです。それらの原料に接着剤をスプレーで塗布し,ホットプレスで熱圧成型して作ります。木質ボードは,製材品として使えない小径木や建築解体材などを原料として製造できます。熱帯雨林の減少などが問題となっている今日では,森林資源の有効利用や木材のリサイクルをはかる上で大切な木質材料の一つです。身近なところでは,家具や床下地などに多く使用されています。

高性能木質ボード

繊維化された木材

高性能木質ボード
繊維化された木材

木質ボードの欠点

 そんな木質ボードですが,欠点もあります。最も問題となるのが,水分の吸収によるボードの寸法変化が大きいことです。これは高温多湿な日本では大きな問題となっています。その原因の一つには,木材の特徴が大きく関与しています。木材自体に親水性があり,水分の吸収によってその寸法が変化する性質を持っているのです。また,木質ボードの製造における熱圧成形によって,原料の木材は大きく圧縮されます。圧縮された木材は,水分吸収によって元に戻ろうとします。このため,特に厚さ方向の寸法変化が大きくなります。

木質ボードの欠点

木材の改良

 以上より,木材の寸法変化を抑えるために,水分吸収を抑制すること(疎水性)が有効であることが分かります。その手段の一つにアセチル化という方法があります。アセチル化によって,木材を疎水性に変えると,木材の寸法変化は抑えられます。当然,木質ボードの原料になる木材繊維をアセチル化し,それから木質ボードを作れば,その寸法変化はかなり改善されます。

 

しかし,木材をアセチル化すると・・・

 しかし,アセチル化すると木材は疎水性になるために,水溶性接着剤とのなじみも悪くなり,接着が阻害されるおそれがあります。木質ボードの製造には水溶性接着剤が多く用いられるので,これは大きな問題です。アセチル化した木材から木質ボードを製造すると,寸法変化は改善されますが,強度が低下してしまうのです。

 

そこでオゾン処理!!

 そこで,寸法安定性を保ちながら,強度の向上を目指す必要が生じます。そのために,アセチル化木材繊維をオゾン処理して,この問題を解決しました。そもそも木材成分のすべてが寸法変化の原因であるわけではありません。寸法が変化する主な原因はセルロースという成分の非晶領域に水分が入るためですが,その他の木材成分の一つであるリグニンは寸法変化にあまり影響を与えないと考えられています。オゾンはそのリグニンを選択的にアタックし,親水性を付与します。つまり,アセチル化で木材全体を疎水性にして,その後,オゾン処理によってリグニンだけに親水性を付与するのです。これで,木質ボードの原料として最適なものになるのです。

 強度に関しては,図1の通り,アセチル化処理のみしたボードが従来型のボードより大きく低下していますが,アセチル化処理とオゾン処理したボードでは,従来型のボードと同程度まで改善しています。また,寸法変化に関してですが,図2の通り,従来型のボードに比べて,アセチル化処理のみしたボードでは大きく低下しており,寸法変化が低く抑えられていることが分かりました。そして,さらにオゾン処理を加えることにより,その寸法変化はいっそう低く抑えられることが分かりました。

オゾン処理

図1 強度の改善

図1. 強度(曲げ強さ)の改善

 

図2 寸法変化の改善

図2. 寸法変化(厚さ膨張率)の改善

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