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発行:農林水産省林野庁
森林総合研究所
研究の“森”から タイトル No.87
2000.09.27
 

野ネズミの貯食行動

〜コナラとコジイ,どっちがお気に入り?〜

野ネズミとドングリの密接なつながり

 秋に森へ行けば,木の下に様々なドングリが落ちているのを目にすることができます。戦中・戦後の食糧難のときには,ドングリで飢えをしのいだこともあったそうですが,森に住む動物にとっては,ドングリは今も変わらず秋そして冬越しのための貴重な食糧です。中でも野ネズミは,もっとも重要なドングリの消費者です。また,野ネズミはドングリを運び土に埋めて貯蔵する習性(貯食)があるため,種子散布者として森林の更新に寄与していると考えられています。

 

種子散布を行う野ネズミ

アカネズミ
ヒメネズミ
アカネズミ

体重25-60g。森の中を活発に走り回ります。

ヒメネズミ

体重10-20g。木登りが得意です。

野ネズミのお気に入りはどのドングリ?

 ひとくちにドングリといっても,たくさんの種類があります。コナラ,ミズナラ,クヌギ,アラカシ,シラカシ,ウバメガシ等々。シイの実もドングリの仲間に入れてもいいでしょう。

これらのドングリが同時に林の中にあるとき,野ネズミはどのようにドングリを選び,利用しているのでしょうか? 

 ここでは,コナラとコジイを同時に与えた時のアカネズミとヒメネズミの貯食行動について紹介します。

イラスト:野ネズミのお気に入りのドングリ

コナラだけ,またはコジイだけしか存在しないと。。。

アカネズミもヒメネズミも。どちらのドングリも利用し,貯食しました。

イラスト:アカネズミの好むドングリ

イラスト:ヒメネズミの好むドングリ

ところが,コナラとコジイの両方のドングリが存在すると。。。

アカネズミ

 コジイはあまり利用せず,コナラのドングリばかりを貯食しました。

ヒメネズミ

 コナラはほとんど利用せず,コジイのドングリばかりを貯食しました。

 

野ネズミの貯食行動から予測されること

−森林の更新とのかかわり−

 これらの結果から,コナラとコジイが同時に実をつけるような林では,コジイがアカネズミによって種子撒布される可能性は低く,またコナラがヒメネズミによって種子撒布される可能性もほとんどないということが予測出来ます。これは,一つの種類のドングリについて考えているだけでは導くことができない予測です。

 一つの種類のドングリと野ネズミという単純化された関係を調べているだけでは思いもよらなかったことが,この実験によって明らかになりました。


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