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発行:農林水産省林野庁
森林総合研究所
研究の“森”から タイトル No.92
2001.03.21

山のみち ―林道の果たす役割


林道の果たす役割

 林道は,以前は生産された木材の運搬をすることが主な役割でしたが,近年は,林業生産活動のほか,地元住民の生活道としての利用,都市住民のレクリエーション利用など幅広く利用されています。このように,林道はさまざまな役割を持っていますが,私ども森林総合研究所の研究では,林業生産に主眼をおいて研究を行っております。例えば,木材の生産を効率的に行っていくためには,林道などの合理的な配置が必要となりますが,我が国の山岳地の地形は,急峻で複雑なことが多く,このことが研究を難しくしています。


林道,作業動,集材路

 林業生産に使用される道には,林道のほか,作業動,集材路があり,これらを総称して森林路網と呼びます。作業道は,林道同様,トラック等一般車両の走行できる道で,集材路は林内作業車,トラクタ等の林業用車両が走行する道です。林道と作業道との明確な区分には難しい面がありますが,一般的には,@林道は基幹的な道であり,作業道は末端的な道,A作業道は,林道ほど規格が高くなく,コンクリート擁壁等の工作物は少ない,B林道は永続的に使用されるが,作業道は一時的に使用されるもの,と考えられています。年間の作設延長では,作業道は林道よりも多く作られています。

図1 林道、作業道、集材路

 我が国の民有林における間伐材の搬出作業には,林内作業車が広く用いられていますが,この場合,全幅員1.5〜2.0m程度の集材路が作設されます。林内作業車は,かなり急な勾配でも木材運搬をすることが可能で,最大勾配は45%程度となることもあります。


林道の形態

 林道は,その分岐,連結する形状によって突込林道と循環林道に区分することができます。突込林道は行った道を必ず戻る形態のもので,谷沿いに林道が作設される場合に多く見られます。循環林道は谷沿いから中腹の林道に移行し,再び谷沿いに戻るような場合に多く見られます。循環林道は,路線の一部が崩壊等により通行不能になった場合でも他のルートを通って目的地に到達しうる利点があります。

図2 林道の形態 

 公道と公道等とを連結する林道を連絡林道と呼びます。林道から任意の2方向に進行できる利点があります。また,公道が何らかの理由により通行不可能になった場合,公道の迂回路として利用されることもあります。


新しい集材方式の導入と路網の整備

 近年,我が国には安価な外国産の木材が大量に輸入されるようになってきています。その影響を受けて,国産の木材の価格は低迷を続けており,我が国の林業経営を取り巻く情勢は大変厳しくなってきています。このような状況の中で,木材生産の低コスト化をめざして,近年,タワーヤーダという林業機械を用いた新たな集材方式が用いられるようになってきています。タワーヤーダは,架線の長さが従来型に比べ短いため,高い密度の森林路網が必要になってきます。路網の密度が高くなると木材伐採地点から路網への集材距離は短くなり,それに応じて集材費用は低減します。また,路網も密度が高い場合には,植林,保育,間伐等の森林作業を行う場合に,現場への到達時間が短縮でき,作業能率の向上が期待できます。しかし,路網密度が増加すると路網作設費が増加します。このことをタワーヤーダ集材における費用で説明します(図4)。図で見て分かるように,路網密度が高くなると集材費の変動費(集材にかかわる燃料費などの変動する費用)は低下しますが,路網作設費は増加します。そこで,両方の費用の合計値が最小の値が最適路網密度として計算されます。この場合,最適路網密度は58.1m/haと計算されました。

図3 タワーヤーダ集材と林道

図4 最適路網密度の計算

図4. 最適路網密度の算定

(タワーヤーダ集材における計算例)

 

 篤林家の中には,2.0m程度の道幅で,小型車両専用の路網をha当たり200m程度の高密度で作って,4面無節のヒノキ柱材生産を行うなど集約的な林業経営を行っている方もいます。

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