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独立行政法人
森林総合研究所
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第93号
平成13年4月30日発行
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木橋を安全に長く使い続けるために

木橋が復活してきた

 この10年ほどの間に,環境や景観への配慮,あるいは木材利用振興のシンボルとして,木橋が見直されてきました。公園や林道を中心に,歩道橋から一般道と同じ荷重レベルで設計された車道橋(写真1)まで多様な木橋が架設されるようになり,その数も年々増加しています(図1)。

写真1 神の森大橋

図1 木橋架設数の推移

写真1. 神の森大橋(愛媛県広田村:橋長26m)

図1. 木橋架設数の推移(橋梁1994.1月号,林野庁林産課資料より)

懸念が現実に
 この様な中,高耐久性木材として導入されたボンゴシ*材を用いて架けられた木橋が約10年を経過して落橋するという事態が発生しました(写真2)。当初より懸念されてきた木橋の耐久性上の問題点が,高耐久性木材を使用したにもかかわらず,現実に生じてしまいました。10年を経過する木橋の数が今後急増することを考えるならば,この事実をきっかけに木橋との付き合い方を見直しておく必要がありそうです。

写真2 歩道橋の落橋現場

写真2. 歩道橋の落橋現場:橋長42m(写真提供:愛媛県宇和島地方局建設部建設第三課)


 この事故は,直前とはいえ異常を発見して迅速な措置がとられたことで最悪の事態を免れましたが,その一方,高耐久性木材を使っているという理由で維持管理が手薄になっていたことが遠因だったと考えられました。同じことを繰り返さないためには,どのような木橋にも維持管理が不可欠であることを強く認識しなければなりません。

ボンゴシ

*ボンゴシ(別称:エッキ,アゾベ,学名:Lophia alata Bankes ex Gaertn.)は,アフリカ原産。高耐久性木材ということで20−30年以上の耐用年数が考えられていました。しかしながら,この木橋では接合部(写真右)において,雨水の排水などへの構造的な配慮を欠いていたために木材腐朽菌の進入・繁殖を招き,最終的に木材の強度が低下したことで落橋にいたったと考えられました。

(写真提供:愛媛県宇和島地方局建設部建設第三課)

木橋を守る技術を探る
 維持費がかさむようになった木橋は架け替えられることになると考えられます。維持費を少なくするには,橋の不具合を小さなうちに早期に発見し,適切な補修方法を選択して施工していく必要がありますが,そのためには橋の健全度を正しく把握することが重要です。森林総合研究所では,既設の木橋に対して各種点検方法を試行してその適用の可能性を検討し,下記のような維持管理システムを提案しています。

図2 点検の種類・項目とその手法
図2 点検の種類・項目とその手法

日常点検
 年数回
  目視点検を中心に劣化・不具合の有無を観察する。
定期点検
 年一回
  目視や簡易な測定装置を用いた点検で劣化・不具合の検出をする。
詳細点検
 数年に一回,あるいは異常が発見された場合
  適切な補修を行うため,劣化の程度・範囲を特定する。


点検の実際例
点検の実際例

木橋を守る伝統の知恵を活かす
 木橋は古くから生活道路として地域に密着して利用されてきましたが,こうした木橋が今でも全国にいくつも残されています。劣化しやすい床板材を交換できる構造にしたり,大切な構造部材には防腐処理材を使用したり,また,雨の多い我が国では屋根付き橋にしたりと,木橋を長持ちさせるための先人の知恵を見ることができます。維持管理が木橋には欠かせないものだけに,少しでも手間や費用の削減を図る努力が大切です。

三嶋橋

三嶋橋(愛媛県河辺村)
   大正12年(1923年),村民の寄付などで架設,橋長約15m。
   現在も生活道路橋として利用中で,自動車も通行できる。
   屋根付き,構造材への防腐剤塗布などで耐久性に配慮している。
   河辺村には,この他にも同様の木造屋根つき橋が4橋あり,
   神社への参道や生活道路橋として利用されている。

  

企画:複合材料研究領域・構造利用研究領域 研究の“森”から No.93  平成13年4月30日発行
編集・発行:森林総合研究所企画調整部研究情報科広報係
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