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独立行政法人
森林総合研究所
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第94号
平成13年5月30日発行
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樹皮タンニン

--多彩な機能と用途開発--


タンニンとは?
 タンニンとは,タンパク質吸着能を有する天然ポリフェノール成分の総称です。タンニンは化学構造の特徴から大きく二つのグループ(縮合型タンニンと加水分解型タンニン)に分類されます。前者が針葉樹・広葉樹どちらにも分布しているのに対し,後者の分布は双子葉植物に限られています。タンニンは,溶剤抽出などによって樹皮から容易に抽出・精製することができます。代表的な縮合型タンニンであるアカシアタンニン及びカラマツタンニンの粉末を写真1に示します。

写真1 樹皮タンニン

写真1. 樹皮タンニン

分布・含有量
 タンニンは多くの高等植物に広く分布していますが,特に,モリシマアカシアの樹皮には30%を越える多量のタンニンが含まれています。ヤナギ属樹木も一般にタンニン含量が高く,平均して16〜19%のタンニンが含まれています。カラマツ,ヒバ等の針葉樹樹皮にもタンニンが広く分布しています(図1)。

図1 樹皮中のタンニン含有量

図1. 樹皮中のタンニン含有量

気中ホルムアルデヒドの吸着
 エゾヤナギの樹皮タンニンは,カテキンや緑茶抽出物よりも高いホルムアルデヒド吸着能を有します。
 アンモニアで気相処理したアカシアタンニンは,さらに効果的にホルムアルデヒドを吸着します(図2)。

図2 タンニンのホルムアルデヒド吸着能

図2. タンニンのホルムアルデヒド吸着能

(アカシアNH3:アンモニア気相処理アカシアタンニン)

抗菌・消臭繊維
 シルク,ウール,ナイロン等のタンパク系繊維は,モリシマアカシアの樹皮タンニンによって容易に染色されます(写真2)。タンニンで染色したナイロンは,アンモニアに対する消臭作用を示します。また,タンニンで染色した後に銅イオン処理したナイロンには,大腸菌に対する抗菌作用が認められます。

写真2 タンニンで染色した交織布

写真2. タンニンで染色した交繊布


シロアリに対する殺蟻性
 カテキン及びカテキン・金属複合体のイエシロアリに対する殺蟻活性を調べてみました。カテキン及びカテキン・ニッケル複合体を各々別のペーパーディスクに含浸させ,シロアリに強制摂食させてみました。カテキンを含浸したディスクを摂食したシロアリは無処理の場合とほぼ同じ生存率でしたが,カテキン・ニッケル複合体含浸ディスクを摂食したシロアリは,21日後には100%の致死率を示しました。ニッケルを複合させることで,カテキンの殺蟻性が顕著に向上することが分かりました(図3)。

図3 カテキン−金属複合体の殺蟻性

図3. カテキン-金属複合体の殺蟻性


液状炭化物

 炭化物微粉と5%タンニン水溶液を激しく撹拌しながら混合すると,液状炭化物が調製できます(写真3)。得られた液状炭化物を単板等の木質材料に塗布して風乾すると,表面に安定な炭化物の膜が形成されます。形成された炭化物の膜は,水を滴下しても安定です。本資材は,ホルムアルデヒド吸着能,電波遮蔽能を有し,快適な住環境空間を創出するための資材として有望です。

写真3 液状炭化物
写真3. 液状炭化物

企画:樹木化学研究領域 研究の“森”から No.94 平成13年5月30日発行
編集・発行:森林総合研究所企画調整部研究情報科広報係
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