ISSN  1348-9798
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独立行政法人
森林総合研究所
研究の“森”から タイトル 研森イメージ
第123号
平成16年4月30日発行
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100℃以上で木材含水率が測定できた!
 

スギ材に新しい乾燥方法を試みる
  わが国を代表する木材であるスギ材は、多くの水分を含んでいるために乾燥に要するエネルギー量が多くなり、乾燥コストが増大することから、しばしば乾燥が難しいことが指摘されます。乾燥コストを減らすためには、高温にして乾燥時間を短縮することが有効ですが、そのような苛酷な条件では木材が割れてしまう心配があります。そこで、新しい方法として、100℃以上で高い湿度の大気圧以上の水蒸気を活用することにしました。通常の圧力で100℃以上の条件では木材中の水分は全てなくなってしまいますが、高温であっても圧力を高めれば水分が残って木材が極めて軟らかくなって割れにくくなると考えたわけです。

これまでできなかった100℃以上での測定
  100℃以上の高温で高湿水蒸気を乾燥に活用するためには、乾燥中の木材の特性の変化に関する基礎的なデータが必要です。木材の特性は一般に温度と水分に影響されるのですが、高温高湿条件での木材の水分に関する正確なデータは、実験が困難であるために得られていません。そこで、木材が含む水分量(含水率)をはかるための実験方法を考案することにしました。

図1 装置内の温度、湿度、圧力
図1.装置内の温度、湿度、圧力

100℃以上での木材含水率をはかる
  図1のように温度と湿度を極めて正確にコントロールできる加熱装置を導入しました。高温高湿用のはかりを試作し、十分に水分を含んだ木材片をはかりに吊るして加熱装置の中に入れました(図2)。様々な温度と湿度に設定して乾燥しながら木材の重さWを測定しました。そして、Wと水分が全くないときの重さWを用いて(W/W−1)×100という式から含水率[%]を計算しました。


図2 実験装置
図2.実験装置




実験装置の写真

実験装置の写真
100℃以上での木材含水率
  図3のように、木材の温度は上昇(第1段階)、安定(第2段階)、再上昇(第3段階)、再安定(第4段階)という経過をたどりました。第2段階では木材中の水が沸騰しています。第4段階では設定の温湿度条件で安定したと言えます。含水率は時間と共に減少して第4段階で安定しました。
図3 乾燥実験における温度と含水率の変化
図3.乾燥実験における温度と含水率の変化
  
  さらに、安定したときの含水率(平衡含水率)と設定温度、設定湿度、圧力の関係は図4のようになりました。これまでは、高温高湿条件における平衡含水率は100℃以下の既存の実験値を基に推定せざるをえませんでしたが、今回の実験により実測値を得ることが出来ました。
  

  これらの結果は、高温高湿条件において温度と水分が木材の様々な特性に与える影響を明らかにし、高温高湿条件での木材乾燥中に何が生じているのか解明するための糸口をつかんだことを意味します。
   図4 100℃以上での木材の平衡含水率
      図4.100℃以上での木材の平衡含水率
        (例えば120℃、85%に設定すると
          装置の圧力は約1.7気圧となり、
          平衡含水率は約8%となります。)



図5 新しい木材加工技術の開発の流れ
図5.新しい木材加工技術の開発の流れ

100℃以上での木材の特性へ、そして新しい乾燥方法へ
  図5のように研究が進んで行って、100℃以上での木材の温度、含水率そして特性の関係が明らかになって、この成果が画期的な乾燥方法の確立に繋がれば・・・。
とても楽しみです。

<実行課題>ケイ1b

  高温・高圧条件下での木材組織・物性変化の解明

      久保島吉貴(木材特性研究領域)

研究の“森”から第123号平成16年4月30日発行
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