ISSN  1348-9798
ロゴ FFPRI
独立行政法人
森林総合研究所
研究の“森”から タイトル 研森イメージ
第128号
平成16年9月30日発行
目次一覧へ>


無駄なく無理せずリサイクル
−廃材から新たな材料を造る!−

リサイクルの障壁
  木造住宅を解体した際に発生する廃木材(解体材)は年間1000万m3にものぼりますが、その再利用率は4割弱にすぎず、主な用途は燃料でした。木材は樹木が空気中の二酸化炭素を吸収することで長い年月をかけて造られますが、燃やしてしまえば二酸化炭素は短時間で放出されてしまいます。そこで、私たちはこの解体材から新たなパーティクルボードを造ることで、有効にリサイクルできないかと考えました。パーティクルボードは、均質な製品が作れることから、家具を中心に広く使われています(写真1)。しかし、現在のパーティクルボードの需要量は年間300万m3。解体材はその3倍以上発生しているので、再利用率を向上させるためには新たな用途の開拓が必要となります。

写真1 パーティクルボード説明(廃材を)
廃材を
砕いて写真1 パーティクルボード説明(砕いて) 写真1パーティクルボード説明(小片にして)
小片にして
板状に成型写真1 パーティクルボード説明(板状に成型)

写真1.パーティクルボードとは?
「量」で「質」も確保!?
  パーティクルボードは、木材と比べると強度性能が劣るため、これまでは木造住宅の屋根、壁、床などの構造材にはほとんど使われませんでした。しかし、住宅の構造材に使えるような材料でなければ、大きな需要を安定的に確保することは困難です。そこで、構造材のうち床材に着目しました。床材に要求される性能は、床の上に載る家具や人の重量を支えることが中心となります。理論的な計算の結果、厚さを2倍にすれば、パーティクルボードを床材に使用できることがわかりました。しかも厚さを2倍にすることは、リサイクルできる廃材量も2倍になることを意味します。では、理論は正しいのでしょうか?それを確認するには、実験を行うことがもっとも確実な方法です。

安全と快適を実証
  そこで、通常の2倍の30mmの厚さのパーティクルボードを試作し、強度性能を測定しました。さらに、遮音性能、断熱性能、防火性能や長期間荷重が作用しても安全であるかなど、住宅の床材に必要な性能について、さまざまな実験を行いました。また、従来にない厚さの製品ですから、留め付けに使用する釘やビスについても検討を行ったうえで、実際の住宅の大きさの床を組み立てて、その性能試験も実施しました。

写真2 さまざまな実験の様子
写真2.さまざまな実験の様子

  これらの実験の結果、厚さ30mmのパーティクルボードは十分な強度性能をもっていることがわかりました。しかも、従来のボードと比較すると、支えられる荷重は3.5倍に達し、変形量は1/8におさえられるなど、床の安全性と快適性を向上させることができました。
  現在、業界団体と研究成果の実用化を進めています。木造住宅の解体材から作られたパーティクルボードが木造住宅の床材の主流を占めることも夢ではないのです。
 <実行課題>クイ3b-2
  再構成木材の木造住宅への適合化技術の開発
渋沢龍也(複合材料研究領域)、杉本健一、三井信宏、青井秀樹、森川岳、末吉修三、井道裕史、原田真樹、軽部正彦、林知行、神谷文夫(構造利用研究領域)、上杉三郎(関西支所)、原田寿郎(木材改質研究領域)

 研究の“森”から 第128号 平成16年9月30日発行
 編集発行:森林総合研究所企画調整部研究情報科広報係
   〒305-8687  茨城県つくば市松の里1番地
   TEL:029-873-3211  FAX:029-873-0844
   E-mail:kouho@ffpri.affrc.go.jp
   URL:http://www.ffpri.affrc.go.jp/

<目次一覧へ>