説明 Bacillaceae科に属する細菌。本細菌はもともとカイコの卒倒病の病原菌として日本の石渡により報告されていたが,その後ドイツのベルリナーによってスジコナマダラメイガから分離された菌から命名記載された。本菌はグラム陽性の桿菌であり,芽胞を形成する。土壌細菌として普通種の Bacillus cereus に近縁であるが,芽胞形成と同時に細胞の中にタンパク質の結晶を産生する点が異なる。このタンパク質はδ−内毒素と呼ばれる。本菌は多数の菌株に分けられ,そのうちの多くは鱗翅目の幼虫の病原であるが,中には双翅目や鞘翅目の幼虫,さらに最近では線虫に殺虫活性をもつ菌株も発見されている。本菌は微生物農薬として製剤化されている(BT剤)。BT剤は世界各国で生産されており,製品の種類も生産量も微生物農薬の中で最も多い。 |