説明 日本のマイマイガはいくつもの亜種に分けられている。北海道・千島−praeterea,本州・四国・九州−japonica,対馬−tsusimensis,種子島・屋久島−postalba,沖縄本島−albescens。ヨ−ロッパのものとアジアのものでは種が異なるとする見解もある。 成虫は雌が翅の開張60〜80mm,雄は開張40〜60mmで,雌のほうが大きい。卵は卵塊状に産まれ,表面は成虫腹部の鱗毛で覆われている。雌は1卵塊を産む。1卵塊は100個以上の卵からなっている。幼虫は老熟すると60mmぐらいになる。体色,斑紋には変異が多い。 1年に1世代を経過する。越冬した卵は,北海道では4〜5月,本州・四国・九州では3〜4月に孵化する。孵化後,幼虫は糸を吐いて枝等からぶら下がり,分散する。幼虫は葉を食害する。食性の範囲は広く,広葉樹から針葉樹まで300種以上の植物が記録されている。森林被害としてはカラマツ林が多い。スギを枯らした記録もある。幼虫期間は2か月程度で,樹上に粗末な繭を作り蛹になる。成虫は6月から7月に現れる。雄はよく飛翔するが,雌はほとんど飛翔しない。産卵場所は樹木の幹等で,建物の壁等の場合もある。産卵後すぐに卵の発育が始り,卵の中で1齢幼虫の形で夏から冬を経過する。 雌成虫が出す強力な性フェロモンが知られており,合成されている(disparlure)。天敵類が多数知られているが,大発生時には核多角体病ウイルス(NPV)やEntomophtora菌による病気が発生し,被害が終息することがあり,防除に天敵微生物を使用することもある。 近縁種にノンネマイマイ(L. monacha)がいる。 |
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