イノシシ被害防止の諸条件
イノシシの被害防止技術として多く行われている方法は、トタン、電気柵、金網、網などで田畑を囲って侵入を防ぐというものがあります。しかし、どの方法も多くの侵入事例があり完璧ではありません。そこで、イノシシの農地への侵入防止を図るため、イノシシの跳躍力などの運動能力を調査した結果、以下の点が明らかとなりました。
1.イノシシの運動能力と行動
1)跳躍力は非常に優れていて、障害物の近く(約30cm)で踏み
切り、高さ1.2mの障害物を助走なしで飛び越えることができ
る。
2)鼻で60kgの重さを持ち上げることができる。
3)障害物に奥行きを持たせ、複雑にするとイノシシの行動が変
化し、障害物を飛び越えず、くぐり抜けようとする。
4)臭覚は優れているが、視覚にも頼っている。視覚的に遮られ
ているかどうかによって行動も変化する。
2.イノシシの行動特性からみた被害防止の諸条件
1)
いくつかの技術を併用し、それぞれの弱点を補うのが良い。トタンの周囲に電気柵を設置するなどして、奥行きを持たせるのも有効。
2)
イノシシは普段から慣れていない場所への侵入は用心深くなるので、年間を通して田畑に侵入させないようにすることが望ましい。
3)
商品価値のない作物や熟して落ちた果実を放置しないなど、少しでもイノシシを近づける要因を排除した環境づくりが重要である。
4)
物理的に侵入を遮断する方法が良い。光・匂い・音を使った方法は慣れてしまうので、補助的に利用する。