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更新日:2012年6月20日

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「国際生物多様性の日 記念シンポジウム」を開催

国際生物多様性の日である5月22日(火曜日)に、早稲田大学大隈小講堂において、約100名の参加者を得て開催しました(主催:独立行政法人森林総合研究所・早稲田大学環境総合研究センター、後援:林野庁、環境省)。

今年は、人間による森林の利用が生物多様性に与える意義や影響について、「生物多様性からみた森林利用 ―過去、現在、未来―」と題し、生物多様性と森林利用、林業との関係について、その歴史、現状、今後の予測に関する講演を行いました。冒頭に森林総合研究所理事長 鈴木和夫より、主催者を代表した開会挨拶があり、その後4人の演者による講演がなされました。

写真1:早稲田大学大隈小講堂

 写真2:開会挨拶

 

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「森林利用は景観をどのように変えてきたか? ―北関東での調査から―」 宮本麻子(森林総合研究所)

日本の近代における土地利用の変遷には、人々の生業の変化が大きく関わっています。森林やその周囲の景観もそれによって大きく変わってきました。こうした景観の変化の実際と、それが生物多様性にどのような変化を与えたか、北関東での調査事例にもとづいた報告がなされました。

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「変わりゆく森林・林業、生物多様性:オーバーユースからアンダーユースへ」  山浦悠一(北海道大学)・岡 裕泰(森林総合研究所)

日本の森林における生物多様性の問題は、天然林の人工林化による過剰利用(オーバーユース)と、人工林の過少利用による開放地の減少とがあります。若齢人工林は草地に匹敵する開放地を作り出すので、活発で適正な林業活動は生物多様性保全にも貢献しうるという報告がなされました。

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里山林の生物多様性を育む「搾取」を継続させるには 津布久隆(栃木県環境森林部)

里山の維持が生物多様性保全に役立つことはよく知られていますが、ボランティアだけでは里山管理は困難です。経済的にペイする仕組みがあって初めて里山は存続します。その取り組みについて、豊富な実践活動を交えた報告がなされました。

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シミュレータが予測する森林の生物多様性 岡部貴美子(森林総合研究所)

林業活動を含めた森林の取扱いによって、そこに住む生物の多様性は変化していきます。世界経済や政策によって異なる森林利用のシナリオを作り、「生物多様性シミュレータ」を使ってシナリオごとの生物多様性の変化を予測できるようになりました

 

 

 講演後、湯本貴和氏(京都大学)、森川靖氏(早稲田大学)、鈴木正勝氏(林野庁)から、コメントをいただき、生物多様性を保全する重要性と、それを担保する森林管理の必要性、その実践について述べて頂きました

 

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会場には生物多様性に関する研究のポスター発表も行われ、来場者の関心を呼んでいました

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