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平成24年10月23日

 

地球全体からの土壌温室効果ガスの吸収量と放出量を推定

独立行政法人森林総合研究所では、森林土壌における温室効果ガスの吸収・放出量を国内に限らず様々な地域で観測を行い、同時にモデリングなどのデータ解析を進めてきました。本研究では、独自に開発したデータ指向型モデル(大量のデータに基づいてパラメータを決定したモデル)を用いた全球(地球全体)の推定値に加え、既存の報告例も含め、土壌温室効果ガスの吸収・放出量の全球の推定値を整理しました(二酸化炭素放出・一酸化二窒素放出・メタン吸収)。このような、不確実性も評価した全球の土壌温室効果ガスの吸収・放出量の最良推定値の算出は世界で初めての成果です。

研究概要

一般に土壌は、植物遺体などの有機物の分解や根の呼吸などにより温室効果ガスである二酸化炭素ガス(CO2)を放出しています。また同じように土壌中の微生物などの働きにより一酸化二窒素ガス(N2O)を放出する一方、湿地などをのぞいて土壌中の微生物の働きによりメタンガス(CH4)を吸収しています。本研究では、土壌温室効果ガスの吸収・放出量の地球全体の値をよりよく推定をするため、氷、水、泥炭土壌に覆われているところをのぞく地球上のすべての土壌を対象に、データ指向型モデル(大量のデータに基づいてパラメータを決定したモデル)を用いた独自の全球推定値を求めました。また、それに加え既存の報告例も集め、全球の推定値を整理しました。

その結果、二酸化炭素放出は炭素換算で年間79,000 TgC(テラグラム、10億キログラム、報告数=6)、メタン吸収は 炭素換算で年間21 TgC(報告数=24)、一酸化二窒素放出は窒素換算で年間6.6 TgN(報告数=9)であることが明らかになりました注*1。また、それぞれの不確実性を示す変動係数は13 %、24 %、22%でした。大気中にはおよそ730,000 Tgの炭素が存在しており、土壌からの年間の二酸化炭素放出量は大気中の炭素のおよそ10%以上にあたることが明らかになりました。このような、全球の土壌温室効果ガスの精緻で不確実性をも評価した吸収・放出量の最良推定値の算出は世界で初めての成果です。

詳しくは下記の公表論文をご覧ください。
Hashimoto S (2012) A New Estimation of Global Soil Greenhouse Gas Fluxes Using a Simple Data-Oriented Model. PLoS ONE 7(8): e41962. doi:10.1371/journal.pone.0041962(オープンアクセス)

土壌温室効果ガス 図1

図1:独自のモデルから推定された全球における吸収・放出量の分布。A: 二酸化炭素放出量、B: メタン吸収量、C: 一酸化二窒素放出量。
二酸化炭素放出量と一酸化二窒素放出量は、熱帯域で大きく寒帯域で小さいという明瞭な空間分布を示しましたが(A,C)、メタン吸収量はそのような空間分布は見られませんでした(B)。

土壌温室効果ガス 図2

図2:これまでの報告値をすべて集めて集約したもの。A: 二酸化炭素放出量、B: メタン吸収量、C: 一酸化二窒素放出量。
どの推定値も大まかには同程度の値ではあるが、特にメタンと一酸化二窒素でばらつきが大きいことがわかりました。


注*1: 今回行った既往報告の集約による最良推定値の算出は、各報告の中で最良推定値が報告されていない研究例(たとえば最大最小値だけの報告など)は除外しました。また一酸化二窒素に関しては、初期の報告でありまた他の報告よりも明らかに大きな値であったBowden (1986)とBanin et al. (1984)、Banin (1986)の報告値は除外しました(公表論文の中ではそれも含めた値も報告しております)。その他より詳しくは論文をご覧ください。

 

 

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