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プレスリリース アイコン 大平成22年9月6日
独立行政法人 森林総合研究所

九州で最後に捕獲されたツキノワグマは本州由来であった

ポイント

  • 九州では、ツキノワグマは1987年に捕獲されて以降、絶滅したと考えられています。 
  • 九州最後の個体とされている1987年に捕獲されたツキノワグマの遺伝子の塩基配列を調べたところ、福井県~岐阜県に分布しているツキノワグマの特徴をもっていました。 
  • この結果、この個体は九州産ではなくて、本州から持ち込まれたもの、もしくはその子孫だと考えられます。
  • 以上の結果から、九州産のツキノワグマが最後に捕獲されたのは1941年、確実な目撃は1957年となります。

概要

九州のツキノワグマは、1987年に大分県で捕獲されて以降、確実な目撃情報もなく、現在では絶滅してしまったと考えられています。しかし、その1987年に捕獲されたクマは、飼育されたり、他地域から持ち込まれたりした可能性が指摘されてきました。そこで森林総合研究所は、このクマの標本の遺伝子を調べ、その由来を推定しました。その結果、このクマは福井県から岐阜県にかけて分布しているクマの特徴を保持しており、この地域から持ち込まれたクマか、その子孫であることが判明しました。すなわち、1987年に捕獲されたツキノワグマは九州産ではないとわかりました。1987年以前の記録では、1957年に死体が確認されています。今回の結果により、九州産ツキノワグマの最後の記録は30年さかのぼり、50年以上にわたって確実な情報が無いことになります。
予算:科学研究費補助金(基盤研究B) No.20380098 「遺伝情報に基づいたツキノワグマ保護管理ユニットの策定」

本成果の掲載論文

タイトル:九州で最後に捕獲されたツキノワグマの起源
著者:大西尚樹・安河内彦輝
掲載誌:哺乳類科学
巻号(年):第50巻第2号(2010年12月発行)

本成果の学会発表

学会名:第16回野生生物保護学会・日本哺乳類学会2010年度合同大会
開催日:2010年9月17日(金曜日)~ 20日(月曜日・祝日)
開催場所:岐阜大学

 

お問い合わせ

独立行政法人 森林総合研究所 理事長 鈴木和夫
研究推進責任者
森林総合研究所 研究コーディネータ 藤田和幸
研究担当者
森林総合研究所 東北支所 生物多様性研究グループ 大西尚樹
広報担当者
森林総合研究所 東北支所 連絡調整室長 佐々木清和
電話番号:019-641-2150(代)
FAX番号:019-641-6747 
森林総合研究所 企画部研究情報科長 荒木誠

 

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