研究紹介 > トピックス > プレスリリース > プレスリリース 2011年 > 世界遺産の島・小笠原諸島の森林に復活したハシナガウグイス ―クマネズミ根絶がもたらした生物相の回復―
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平成23年9月15日
独立行政法人森林総合研究所
ポイント
小笠原諸島は、2011年6月にユネスコにより世界自然遺産として登録されました。その貴重な生態系を保全するため、生態系に影響を与えている外来種の管理が行われています。クマネズミはIUCN(国際自然保護連合)が認定している侵略的な外来種であり、小笠原の多くの島に侵入しています。無人島の西島では、森林総合研究所がわが国で初めて2007年にクマネズミの根絶のための駆除を実施し、その後も環境省によって徹底した駆除が続けられており、現在は根絶状態にあるものと思われます。クマネズミの駆除前には、この島に生息する陸鳥はメジロとイソヒヨドリの2種だけでした。しかし、クマネズミが根絶された後の2009年6月から小笠原諸島の固有亜種ハシナガウグイスが定着したことが確認されました。また、2010年以降はトラツグミも確認されています。これまで、小笠原諸島においてクマネズミが陸鳥の生息に影響を与えている証拠はありませんでしたが、今回の結果から、クマネズミが実際に深刻な脅威となっていること、そして、クマネズミを根絶すれば短期間で鳥類相が回復しうることが明らかになりました。この成果は9月17~19日に大阪市立大学で行われる日本鳥学会で発表される予定です。
予算:環境省委託地球環境保全等試験研究費
「小笠原諸島における帰化生物排除後の森林の順応的管理方法の開発」
本成果の学会発表
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独立行政法人 森林総合研究所 理事長 鈴木 和夫 |
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