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プレスリリース

2022年9月28日

国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所

林野土壌図とCS立体図を現地で同時閲覧可能に
—より防災に配慮した施業計画の作成が可能に—

ポイント

  • Webブラウザ上で既存の基盤地図と林野土壌図あるいはCS立体図と重ねて表示させるシステムを公開しました。
  • スマートフォンやタブレットでも閲覧可能で、現地で周囲の図面を確認できるようになりました。
  • 解像度の粗い既存のweb土壌図では難しかった微地形による土壌の違いを読み取れるようになりました。
  • 今後対象範囲を拡大し、防災に配慮した森林施業計画策定に必須のツールとして利用されます。
  • 森林土壌デジタルマップ https://www2.ffpri.go.jp/soilmap/index.html

概要

国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所の研究グループは、Webブラウザ上で土壌図とCS立体図を重ねて閲覧できるシステムを公開しました。今まで紙上あるいはデジタル画像で個別に供給されていた土壌図に位置情報を付与し、インターネットブラウザによって閲覧できるようにしました。この図と、CS立体図や国土地理院が提供している陰影起伏図・空中写真などと重ねて表示できることから、現地でこれらの図を参考にしながら森林施業計画、林道の敷設計画や森林調査などをおこなうことが可能になりました。また、これらの図を利用した環境教育などにも利用可能です。
本研究成果は、2022年9月1日にインターネットで公開されました。

背景

森林管理や施業の際に不可欠な路網の開設や適切な造林地選定などは、森林機能の総合的評価をもとに決定することが重要です。その際、蓄積された各種の情報(土壌図、地形図、CS立体図、地質図等)を机上あるいは現場において確認することが必要となりますが、これらを示す図面の一部は紙上でしか閲覧できず、複数の図面の情報を一元的に参照するには頭の中でイメージを重ねる必要がありました。特に、これまでインターネット上で入手可能であった縮尺20万分の1の土壌図は解像度が非常に粗く、現場での斜面や林小班単位での実用に耐えうるものではありませんでした。そのため、森林施業計画の策定など総合的な判断が必要な場合には、紙の地図の入手に加え、相当な経験が必要とされる図面判読の技術が必須となっていました。これらの図面が、PCあるいはスマートフォンの画面上で同時に参照できるようになれば、図面判読技術がなくても迅速かつ正確に各種情報を得ることが可能となります。

内容

そこで、縮尺2万分の1の高い空間解像度を持つ林野土壌図およびCS立体図を、画像としてデジタル化し、自由に縮尺を変更できるタイル形式に変換し、国土地理院から公開されている地形図、空中写真等の情報と重ねて表示することが可能なWeb GISシステムを開発しました。また、土壌図作成に用いられた5千地点以上の土壌断面情報(層位や理化学性など)を同時に閲覧可能としました。これにより、オフィスあるいは現地において、簡単にこれらの地図を参照することが可能となりました。また、それぞれの地図は透過率を変えて重ね合わせることが可能であり、調べたい場所の土壌の種類や地形因子を正確に把握することができるようになりました。そのため、森林施業の策定の高度化、迅速化に資するとともに、例えば路網作設の危険地域予測が簡単にできるようになり、スマート林業の推進にも寄与するシステムとなります。さらに、近くの山にどんな土壌が分布しており、どんな性質を持っているかを簡単に把握できるため、森林調査の基礎情報としての利用や地域の環境教育の教材として使用することも可能です。

CS立体図、土壌図、写真の透過度を変更し重ね合わせて表示させたシステムのイメージ図
写真画像は国土地理院の地理院地図の写真

 

今後の展開

現在、土壌図は国有林に限定して公開していますが、今後民有林についても登載可能なものから順次登載していき、全森林に対するカバー率を上げていく予定です。CS立体図についても、今後増加すると見込まれる航空機レーダー観測のデータを利用し、閲覧可能地域を増やしていく予定です。さらに、近日中に、現地での視認性を高めるため、土地の起伏がイメージしやすい3D表示が可能なシステムにアップグレードするほか、気候変動研究に寄与する土壌炭素量等の土壌特性値推定マップや、森林調査や森林教育の参考となる土壌断面スケッチ画像の追加も予定しています。これらを通して、行政・研究・教育に貢献するシステムを目指します。

用語解説

1)林野土壌図
林業試験場(現森林総合研究所)の指導のもと、全国の森林を対象に、1940年代から1980年代にかけて作成された土壌図のこと。森林の最も基本的な基盤情報であり、植栽樹種の適地判定、森林の更新や保全対策の策定に参照される。膨大な労力がかけられ、同様の調査は二度と行うことができないと言われる。国有林については、全国の営林局(現森林管理局)が林野土壌調査報告として作成した。

2)CS立体図
長野県林業総合センターが考案した地形表現図で、デジタル標高データから計算される曲率(Curvature)、傾斜(Slope)の情報を色調を変えて重ね合わせることにより、視覚的・直感的に地形判読を可能とした図のこと。崩壊地や湧水地といった災害リスクに関係のある地形の判読などに優れるため、林業や防災分野での利用が進んでいる。

 

お問い合わせ

研究担当者:
森林総合研究所 立地環境研究領域 領域長 石塚成宏

広報担当者:
森林総合研究所 企画部広報普及科広報係
Tel: 029-829-8372
E-mail: kouho@ffpri.affrc.go.jp

 

 

 

 

 

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