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主要国の動向

カンボジア

 カンボジアでは森林減少が現在も進行しつつありますが、いまだ広大な森林が残っています。しかしながら、焼畑農業、土壌浸食、農地への転換、違法伐採、過剰伐採、森林火災、そして内戦時の化学薬品の使用の影響等によってかなりの森林が劣化しています。このような状況に対して、援助機関の支援によってREDDに向けた取り組みが進められつつあります。
 現在カンボジアでは以下の4つのREDDパイロットプロジェクトが行われています。
  1. オッダーミーンチェイ州(Oddar Meanchy)におけるコミュニティフォレストリープロジェクト

    実施者:Pact、クリントン気候イニシアティブ、Community Forest International

  2. モンドゥルキリ州(Mondulkiri)におけるセイマ(Seima)保護区プロジェクト

    実施者:野生生物保護協会(Wildlife Conservation Society: WCS)

  3. プレイ・ロング(Prey Long)保護区プロジェクト

    実施者:フォレスト・アンド・ランドスケープ・デンマーク(Forest and Landscape Denmark :FLD) 及びコンサベーション・インターナショナル(Conservation International:CI)

  4. カルダモムズ(Cardamoms)保護区プロジェクト

    実施者:ワイルドライフ・アライアンス(Wildlife Alliance)

 その中でもオッダーミーンチェイ州におけるパイロットプロジェクトでは、森林管理活動による森林減少・劣化抑制の枠組み、仕組みづくりに向けた検討が進められています。荒廃していたコミュニティフォレスト(約6万ヘクタール)において、地元コミュニティと地方森林局が山火事防止・違法伐採取り締まりなど森林管理活動を実施し、中央政府が制度支援と法の運用を、援助機関が事業設計・支援を、それぞれ行うこととなっています。このプロジェクトでは、今後30年間で約850万CO2トンの排出抑制が見込まれており、カンボジア政府はクレジットによる収入の半分を地元コミュニティに還元すると宣言しています。
 なお、カンボジアはUN-REDD及び世界銀行の森林保全カーボンファンド(Forest Carbon Partnership Facility:FCPF)のプログラム対象国に選定されているものの、現段階でまだ資金供与を受けていません。
 その他、カンボジアおけるREDDに向けた取り組みとして、AusAIDによる国家炭素会計システム構築支援、デンマークのDANIDA(Danish International Development Assistance)、NZAid(New Zealand Aid Programme)、USAID、DFID、JICA、ブルームーンファンド、等によるものがあります。

マレーシア

 ITTOの評価によれば、マレーシアの森林関連行政は、連邦・州の両レベルで基本的に整っており、森林資源の長期的経営を監督する能力を有しているとされています。しかしながら、特にボルネオ島の諸州において、依然として農地への転用やオイルパームプランテーションの拡大による森林減少が続いています。
 ボルネオ島のサバ州、サラワク州は、REDDの取り組みを行うポテンシャルが世界で最も大きな場所の一つと認識されています。また、マレー半島においても森林減少を抑制する大きなポテンシャルがあり、様々な取り組みが行われています。例えば、マレーシア航空は、マレー半島に最後に残ると言われる泥炭湿地の保全プログラムを行っています。加えて、サバ州、サラワク州、及びマレー半島の泥炭森林保全に対して、地球環境ファシリティ(Global Environment Facility:GEF)からの無償資金供与も受けています。
 現在、TIMO(Timber Investment and Management Organization)と呼ばれる組織(森林・林業に係る投資ファンドを運用する管理組織体)が、森林及び木材利用権を得るために、マレーシアを含む他の東南アジア諸国で活動を展開しています。マレーシアでは、ニューフォレスト(New Forest)とフォーノスティンバーファンド(Phaunos Timber Fund)という2つのTIMOが木材プランテーションを展開しています。これらのTIMOが森林利用権を有する地元コミュニティとパートナーシップを結ぶ際に、REDDに関心を持つ可能性は高いと考えられています。
 他にも、UNDPはサバ州において複数の森林保全プロジェクトの実施を計画しており、またUSAIDは木材利用に関する森林認証支援プログラムを実施しています。しかしながら、現段階でマレーシアではREDDパイロットプロジェクトは実施されていません。

インドネシア

 インドネシアは、最近になって森林減少率が低下しつつあるものの、いまだ世界で最も森林消失の激しい国であり、2008年のギネスブックには世界一森林消失の早い国として掲載されています。
 インドネシアにおける大きな課題として、森林の農地への転換や違法伐採に加えて、オイルパームプランテーションや製紙用パルププランテーションの拡大と、泥炭地の乾燥・分解とそれにより引き起こされる火災が挙げられます。オイルパームやパルプ・製紙用樹木のプランテーションは、主にスマトラ、カリマンタンで拡大していますが、これらの多くが森林や泥炭地の転換によるものです。この転換自体が大きな排出源となるとともに、収穫・伐採を容易にするために湿地の排水が行われることで泥炭地の乾燥・分解が起き、さらには乾燥により発生する野火が大規模な森林火災に繋がり、大量の二酸化炭素が放出されています。2007年11月には、国際湿地保全連合(Wetland International)は、「森林破壊による泥炭湿地からの排出量を含めると、インドネシアが世界第3位の二酸化炭素排出国になる」と発表しています。REDDの取り組みによる資金提供によって、これら森林におけるプランテーション拡大を防ぎ、泥炭地管理に向けた制度構築・能力向上を促すことが期待されています。
 インドネシアは、森林による二酸化炭素吸収に関する大小さまざまな規模のパイロットプロジェクトが、世界で最も多く行われている国の一つです。しかしながら、中には資金不足やクレジット収入の不確実性等によって、その遂行状況が芳しくないものあるようです。REDDの取り組みのための支援も、非常に多く、広範にわたって実施されています。たとえば、UN-REDD、USAID、AusAID、ドイツのGTZ、JICA、ノルウェー、韓国、世界銀行、WWF、TNC(The Nature Conservancy)、ファウナ&フローラインターナショナル(Fauna and Flora International)、クリントン気候イニシアティブ等、様々な国・機関による支援が行われています。
 現在インドネシアが抱える課題として、このような数々のパイロットプロジェクトから得られた教訓を、地元コミュニティを含む多くステークホルダーで共有していくことが挙げられます。かつては、世界銀行がプロジェクト実施国・機関を集めて、得られた経験・知見を共有する場を設けていたのですが、最近はその会合があまり行われなくなってきています。また、REDDにおけるドナー間協力も行われていない状況です。多様なREDDプロジェクトの中から学べる教訓、経験、知見を捉え、普及させるための制度的な支援を行うことのできる組織体制が必要とされています。

ベトナム

 多くの開発途上国で森林減少が進む中、ベトナムでは植林・再植林が積極的に実施されたことで近年森林が拡大しており、1990年に比べて2005年の段階で森林面積が38%ほど増えています。このように、国全体で見ると森林は増えているのですが、いくつかの地域ではいまだ森林減少が続いており、特に天然林の減少・劣化が問題となっています。このような状況下で、ベトナム政府は、複数の国際機関、援助機関の協力を得ながら、積極的にREDDに取り組む姿勢を見せています。
 ベトナムは、世界銀行の森林保全カーボンファンド(Forest Carbon Partnership Facility:FCPF)や、UN-REDDプログラムの対象国となっており、多くの技術面及び資金面での援助を受けています。また実証研究についても、たとえばUN-REDDのプログラムにおいて、REDDに準拠した利益配分システム設計についての広範かつ詳細な研究が実施されています。
 他にも、ベトナムに対するREDD関連の支援が、USAID、JICA、オランダのSNV、フィンランド、ICRAF等より実施されています。わが国のJICAは、REDDサイトの分布やその他基礎情報のデータベース化を行う潜在的適地選定調査を実施しており、地域ごとの情報を衛星画像解析及びフィールド調査を通じて収集し、マッピングを行って地域と共有することを目指しています。また、SNVは、バイオガス・オフセットプログラムの推進を行っており、REDDサイトのマッピングと共に、REDDの取り組みを実施した場合と様々の農作物栽培を実施した場合とを比較して費用対効果分析を行い、REDDの展開可能性についての分析を行っています。また、フィンランドは、森林モニタリング及び情報管理システム構築プロジェクトを実施しており、500万ドルを拠出しています。

ブラジル

 ブラジルのアマゾン地域は、単一の区域としては世界最大の熱帯雨林であり、その8割がいまだ手つかずのままとなっています。多種多様な動植物の宝庫であり、世界の中で最も多くの生物種が生息しています。近年減少率が低下しつつありますが、主にこのアマゾンにおける森林減少・劣化により、ブラジルは世界の中で最も森林減少面積の多い国の一つとなっています。森林減少の最大の要因は、農地・放牧地への土地利用の転換です。さらに、道路建設、ダム建設、鉱業開発、都市化等の要因も森林減少に拍車をかけています。

 このように森林資源量が多く、森林減少・劣化が著しいブラジルに対して、先進国政府、企業、環境NGO等を中心とした、森林減少・抑制の活動が活発となっています。

 例えば、ノルウェー政府は、2009年から2015年まで最長7年間にわたってアマゾンの森林管理を実施するために総計10億ドルの資金拠出を行うと決定し、2009年11月にブラジル政府と覚書を締結しました。このアマゾン基金と呼ばれる資金供与を契機として、ブラジル政府は初の国家レベルでのREDDプログラムを実施すると発表しました。ブラジル政府はREDDについての国際的議論の中で、取り組みを推進するための十分な資金を確保するには、市場メカニズム方式ではなく基金方式(森林減少面積に応じた資金配分)が必要であると主張しています。

 また、多国間の開発銀行が運営する気候投資基金(Climate Investment Fund)内のプログラムである森林投資プログラム(Forest Investment Program:FIP)のパイロットプロジェクト対象国にも選定されています。

 なお、ブラジルは、世界銀行の森林保全カーボンファンド(Forest Carbon Partnership Facility:FCPF)及びUN-REDDの対象国には含まれていません。しかしながら、FCPFにはオブザーバーとして参加しており、ブラジルの経験および技術を活かした南-南協力という形式で他の開発途上国を支援していく立場を取っています。

参考・引用情報一覧