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樹木では樹幹に光合成産物を偏ることなく分配する仕組みがあった

2005年9月5日掲載

論文名 Temporal photosynthetic carbon isotope signatures revealed in a tree ring through13CO2 pulse-labeling (13CO2パルスラベリングにより一時的に炭素同位体標識された光合成産物の年輪形成への利用)
著者(所属) 香川 聡(木材特性領域)、杉本 敦子(北海道大学地球環境科学)、山下 香菜(木材特性領域)、安部 久(国際農研)
掲載誌 Plant, Cell & Environment (植物、細胞および環境、英)、28巻7号、2005年7月
内容紹介  樹木が肥大成長するときに光合成産物がどのように配分されるか、その過程を解明するために、光合成産物が葉から幹へと輸送される経路について、スギの枝先から13CO2トレーサー(非放射性の炭素安定同位体)を取り込ませる方法で炭素が師部をどう流れるかを調べた。経路の季節的な変化を追跡したところ、標識したCO2を春(5月)に取り込ませたときには光合成産物は枝の鉛直直下右側に流れていたが、時間を経て検出されたものでは円周方向に経路がずれていき、秋(9月)に取り込ませたものでは、樹幹の約1/4周ずれた鉛直直下左側の位置で検出され、光合成産物の配分が樹幹の円周方向で偏りが少なくなるようコントロールされていることがわかった。このために年輪はほぼ真円に近い形をしており、木材の材質は樹幹内の東西南北方向では大きく変わらないものと考えられる。

 

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