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日本に定着した外来タケクマバチと随伴ダニのリスク評価

 2010年6月10日掲載

論文名

Invasion pathway and potential risks of a bamboo-nesting carpenter bee, Xylocopa tranquebarorum (Hymnoptera: Apidae), and its micro-associated mite introduced to Japan(日本に導入されたタイワンタケクマバチと共生ダニの侵入経路および潜在的なリスクの評価)

著者(所属) 岡部貴美子・牧野俊一(森林昆虫研究領域)、升屋勇人(森林微生物研究領域)、川添和英(名古屋市)
掲載誌

Applied Entomology and Zoology(応用動物昆虫学会誌)、2010年5月

doi:10.1303/aez.2010.329(外部サイトへリンク)

内容紹介  危険な外来生物の対処には、侵入直後の適切な対応が不可欠です。外来種マツノザイセンチュウの侵入で激害となった日本の松枯れのように、対策が遅れると根絶は困難を極めます。また外来生物の危険性が不明な時点でも、まず侵入経路を解明して侵入をたつことが重要です。次に生態を調べて危険性=リスクを評価し、危険度に応じた対応策を開発する必要があります。最近日本に定着したタイワンタケクマバチと、このハチと共生するダニは定着してまだ間もなく、根絶できる可能性があります。しかし侵入経路もそれぞれの生物のリスクも不明だったことから、リスクを評価しました。その結果、タケに巣を作るこのハチとダニは、竹材に伴って中国大陸から導入された可能性が高いことがわかりました。またタケクマバチは人を刺すことと、竹材に大きな孔をあけ価値を低下させるリスクがあります。一方ダニは、ハウスダストなどになる可能性は低いものの、日本在来クマバチと在来のダニとの間の共生関係をかき乱す可能性があります。このように外来種が侵入するとそれに付随する生物も侵入するリスクが高まり、日本の生態系に様々な影響を与える心配があるのです。このことからも外来生物の安易な導入は避けるべきです。

 

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