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かつて野生動物は山村の貴重な収入源だった 

 2010年6月10日掲載

論文名 明治初期の熊本県南部における野生哺乳類の生息、狩猟および被害の分布
著者(所属) 安田 雅俊・近藤 洋史(九州支所)
掲載誌

森林防疫 59(2) 23月30日、2010年3月

内容紹介  私たちは、狩猟統計により、1923(大正12)年以降の年度ごとの狩猟鳥獣の捕獲数を知ることができます。しかし、それ以前の野生動物と人間との関係については資料が乏しく、詳しいことは分かっていませんでした。本研究では、皇国地誌という明治初期の地方情勢を記した資料に基づき、狩猟統計の開始より約半世紀前(1875(明治8)年)の熊本県南部における野生動物の生息分布や狩猟、農業被害の状況を読み解くことに成功しました。本研究によって、明治8年当時の熊本県南部では、(1)野生動物による農作物への被害があり、組織的な捕獲が行われていたこと、(2)イノシシ、シカ、サルといった大型獣は地形が急峻で人口密度の低い場所にのみ分布していたこと、(3)捕獲数は現在の約1/100であったが、肉や毛皮、薬の原料として利用されていたこと、(4)野生動物は山村の人々の貴重な収入源となっていたこと(現在の物価水準に換算すると1頭あたりイノシシ22500円、シカ7800円)がわかりました。これらの成果は、今から約135年前には人間が狩猟によって野生動物を追いつめ、生息域を制限していたことを明らかにしただけでなく、野生動物を地域の富として利用していたことを示すものです。引き続き、先人の知恵を現在の野生動物管理に生かす途を探っているところです。

 

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