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間伐・立地条件が森林蓄積の経年推移に与える影響をモデル化 -伐期選択の指針として-

 2010年8月16日掲載

論文名 Effects of thinning level and site productivity on age-related changes in stand volume growth can be explained by a single rescaled growth curve. (林分材積成長の経年推移に与える間伐強度と林地生産力の影響を単一の成長曲線で説明できる)
著者(所属) 西園 朋広(森林管理研究領域)
掲載誌

Forest Ecology and Management 259巻12号 (森林生態と管理、オランダ)、2010年5月発行

doi:10.1016/j.foreco.2010.03.002(外部サイトへリンク)

内容紹介

森林を適切に管理していくためには、森林蓄積の経年推移を正確に予測する必要があります。しかし、これまでに森林の蓄積量の推移を表現するために提案された成長曲線では、間伐や立地条件の複合的な影響による蓄積量の変化を充分に表現できませんでした。本研究では、従来の成長曲線を拡張した非線形混合効果モデルを提案し、秋田地方のスギ人工林における長期モニタリングデータに回帰したところ、間伐・立地条件が森林蓄積の経年推移に与える影響を適切にモデル化できることを示しました。さらに、得られた回帰式から間伐履歴や立地条件の違いに影響されない普遍的な成長曲線を導出しました。これにより、森林蓄積の経年推移に与える間伐と立地条件の影響を簡潔に示すことができました。また、既存研究で、適度の間伐の繰り返しが高齢期における林分純成長量の減退を少なくすることが分かっていましたが、本研究で得られた普遍的な成長曲線により、立地条件の良い林分では間伐の効果は短期間で表れるが、立地条件の悪い林分では効果が表れるのに長期間を要することが新たに分かりました。本研究の結果は、最適な間伐方法や主伐の時期が立地条件に応じて異なることを示しており、伐期選択の指針として利用できます。

 

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