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焼畑放棄後に生じた熱帯二次林のバイオマスはどのように回復するのか

 2010年8月23日掲載

論文名 Changes in above- and belowground biomass in early successional tropical secondary forests after shifting cultivation in Sarawak, Malaysia(マレーシア・サラワク州における焼畑後の熱帯二次林の地上部と地下部のバイオマスの変化)
著者(所属) 田中 憲蔵(国際連携推進拠点)、市栄 智明・服部 大輔・櫻井 克年(高知大学)、J.J.Kendawang(サラワク森林局)、二宮 生夫(愛媛大学)
掲載誌

Forest Ecology and Management 260、875-882、2010年7月発行
doi:10.1016/j.foreco.2010.06.006(外部サイトへリンク)

内容紹介

東南アジアの熱帯林は重要な炭素貯蔵源になっていますが、総面積の6割以上が人為攪乱により二次林に劣化して炭素貯蔵量が減少しています。地上部バイオマスの回復過程はよく調べられていますが、地下部バイオマスの推定が難しく、その回復の詳細は明らかになっていませんでした。そこで、私たちは、マレーシア・サラワク州の代表的な二次林である焼畑放棄二次林の地下部も含めた総バイオマスの変化を調査しました。はじめに、森林の地上部バイオマスから地下部バイオマスを推定するモデルの改良を行い、地下部を含めた総バイオマスの推定精度を最大50%程度向上することに成功しました。二次林の総バイオマスは、焼畑放棄後10年間は急速に増加しましたが、その後、増加量は著しく減少しました。焼畑放棄17年後の総バイオマスはヘクタールあたり約120トンで原生林のおよそ1/3~1/5の値であり、総バイオマスの回復にはさらに長い年月がかかると考えられます。

 

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