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二酸化炭素濃度の上昇がブナの結実に及ぼす影響を調べる世界初の実験

 2011年7月12日掲載

論文名 Leaf traits, shoot growth and seed production in mature Fagus sylvatica trees after 8 years of CO2 enrichment (8年高CO2濃度処理によるヨーロッパブナ成木の葉の性質、シュート成長および種子生産への影響)
著者(所属)

韓慶民(植物生態研究領域)・壁谷大介(木曽試験地)・Günter Hoch (University of Basel)

掲載誌

Annals of Botany (植物紀要)、107巻8号、2011年6月、Oxford University Press(イギリス)
doi: 10.1093/aob/mcr082(外部サイトへリンク)

内容紹介 ブナは、種子の豊凶の違いが著しく、例えば日本のブナでは豊作年と凶作年では数百倍の開きがあり、天然更新の成否やツキノワグマの出没と深い関係があります。ブナは、豊作年には種子の生産に大量の光合成産物(炭素を含む化合物)を消費するため、幹や枝の成長が減ってしまいます。一方、今後予想される二酸化炭素(CO2)濃度の上昇が起こると、一般に樹木の光合成生産は増加します。それでは、光合成産物が増えると種子生産が増えるのでしょうか、それとも成長低下が解消されるのでしょうか。その答えは種子をつける成木で実験しなければならず、これまで誰も調べることができませんでした。そこで、スイスの100年生ヨーロッパブナ林にあるFACE実験施設(屋外条件で高CO2濃度を実現するもの)での8年間にわたる世界初の実験を行った結果、CO2濃度を高くしても豊作年の種子生産量は変化しないが、豊作に伴う枝の成長低下は通常のCO2濃度と比べて小さいことが分かりました。これは、CO2濃度の上昇が樹木の繁殖と成長に及ぼす影響を明らかにした世界で始めての成果です。種子生産の豊凶は森林の更新の成否を大きく左右することから、今回の成果は、大気中のCO2濃度の上昇がブナ林の森林生態系へ及ぼす影響の予測に役立つものと期待されます。

 

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