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花粉親を管理して優良なスギ造林用種子を作ろう

 2011年9月16日掲載

論文名 Paternity analysis in a progeny test of Cryptomeria japonica revealed adverse effects of pollen contamination from outside seed orchards on morphological traits.(スギ検定林における父性解析が解き明かす採種園外からの花粉混入の形態形質への負の影響)
著者(所属)

森口 喜成(森林総研)、蓬田 英俊(岩手林技セ)、岩田 洋佳(東大)、高橋 誠(森林総研林育セ)、平 英彰(元新潟大)、津村 義彦(森林総研)

掲載誌

Tree Genetics & Genomes Volume 7, 1089-1097 (2011年9月)

DOI: 10.1007/s11295-011-0397-z(外部サイトへリンク)

内容紹介

スギを含む多くの針葉樹の造林用種子は、遺伝的に優れた木を集めて植えた採種園で生産され、採種園産の種子で造成した森林の成長や形質が優れていることは広く知られています。採種園産種子の母親は確実に採種園内部の木ですが、花粉は風で遠くまで運ばれるため、内部だけでなく外部の木も種子の父親(花粉親)となり、幹の通直性や成長といった重要な形質に対して、外部の木が悪影響を及ぼす可能性があります。近年、DNA解析による親子識別の手法が確立され、採種園産種子の父親の調査が進みました。その結果、採種園の周辺にあるスギ林の面積や花粉飛散量などで異なりますが、現在の採種園産種子では約35~65%の父親が外部の木であることが明らかにされました。これにより、採種園外部の木も造林用種子の父親となっているという現状が広く認識されています。

このように外部の木による花粉の割合は推定されましたが、採種園産種子から育てた実際の森林において、幹の通直性や成長という有用な形質に対し、採種園外部の木が及ぼす影響までは調査されていませんでした。そのためには、採種園と造成された森林との関係が長年正確に管理された材料が必要です。私たちは、ある採種園産種子から育てて30年が経過した試験林のスギの父親をDNA解析で特定することにより、成長や通直性への父親の影響を解明しました。その結果、この試験林の58.5%のスギの父親が採種園外部の木であり、父親が外部のスギは、父親が内部のスギに比べ、成長はやや劣り、通直性ははっきりと低下することがわかりました。

今回明らかとなった採種園外部の父親が及ぼす負の影響は、スギの品種改良が進むほど深刻となります。今後、採種園外部からの花粉の流入を抑える様々な工夫を徹底することによって、母親の改良効果だけでなく父親の改良効果も確実に加えれば、さらに優良な造林用種子を生産することができると考えられます。。

 

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