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大気汚染で問題となるオゾンに耐性を持つ組換えポプラを作出しました

 2011年10月7日掲載

論文名 Improvement in the ozone tolerance of poplar plants with an antisense DNA for 1-aminocyclopropane-1-carboxylate synthase (アミノシクロプロパンカルボン酸合成酵素を導入した遺伝子組換えポプラにおけるオゾン耐性の改変)
著者(所属)

毛利 武・古川原 聡・伊ヶ崎 知弘(森林総研 生物工学研究領域)、保谷 泉(トヨタ自動車)、青野 光子・中嶋 信美(国立環境研)、篠原 健司(森林総研 COD)

掲載誌

Plant Biotechnology Vol.28 No.4 【2011年9月号】 417ページ~421ページ
DOI: 10.5511/plantbiotechnology.11.0725a(外部サイトへリンク)

内容紹介

硫黄酸化物やオゾンによる大気汚染は光化学スモッグ等を引き起こすことから、人の健康への影響が懸念されます。植物は気孔から大気汚染ガスを取り込み、解毒することができますが、濃度が高い場合には植物自身に傷害が生じて、落葉したり、枯死したりします。この傷害は、植物ホルモンの一種であるエチレンが引き起こすと考えられています。
本研究では、エチレン合成のキー酵素であるアミノシクロプロパンカルボン酸合成酵素(ACS)遺伝子の発現を抑制することによって、エチレン合成が阻害された遺伝子組換えポプラを作出しました。なお、組換えポプラの作出には、土壌細菌アグロバクテリウムを用いた手法を採用しました。この組換えポプラはオゾン耐性を示し、高濃度のオゾン(0.6 ppm、4時間)を暴露しても、葉に傷害が観察されませんでした。一方、非組換えポプラでは葉が褐変化し、枯死しました。また、オゾン暴露した葉のエチレン生成量を測定したところ、組換えポプラの葉のエチレン生成量は非組換えポプラのものと比較して約60%まで減少していました。さらに、オゾン暴露した組換えポプラと非組換えポプラのACS遺伝子の発現量を比較したところ、組換えポプラでは非組換えポプラと比べて低く抑えられていることが明らかになりました。
以上の結果は、樹木でもオゾンによる葉の障害発生過程にエチレン合成が深く関与することを示しており、エチレン合成を抑制することで組換えポプラはオゾン耐性を獲得したと説明できます。今回の遺伝子組換え技術は、他の植物ホルモン合成酵素遺伝子にも応用でき、より有効な環境ストレス耐性組換え樹木の開発に役立ちます。開発した組換えポプラは、将来、大気汚染の著しい地域での植栽品種として活用できると期待されます。

 

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