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南限に暮らす天然記念物ヤマネ―森林の分断による孤立化が明らかに―

 2011年11月24日掲載

論文名 絶滅のおそれのある九州のヤマネ—過去の生息記録からみた分布と生態および保全上の課題—
著者(所属)

安田雅俊(森林総研)・坂田拓司(熊本市立千原台高校)

掲載誌

哺乳類科学 51巻 2号. (2011年12月発行予定)

内容紹介

ヤマネは、樹上性で夜行性の小さな哺乳類です。日本固有種で、国の天然記念物に指定されており、環境省の準絶滅危惧種に指定されています。九州のヤマネは種の分布の南限にあたり、遺伝的に日本の他の個体群とは大きく異なること(固有性が高い)が知られていますが、情報が少なく、保全上の問題となっていました。そこで本研究では、多くの文献資料からヤマネの記録の時期と場所の情報を集め、データベース化することで、保全に必要な九州本島における詳細な分布と生態を明らかにしました。生息域に関しては、九州のヤマネは、低標高の照葉樹林から高標高の落葉広葉樹林にまで、幅広い植生帯に生息可能であることが分かり、九州本島全体が森林に覆われていた時代には、全域に生息していたものと思われます。ところが、現在では国有林を中心とした、8ヵ所の生息地に分断されていることが分かりました。そのうち4ヵ所は、他の生息地から直線距離で20 km以上離れており、都市や農地などヤマネが移動できない環境によって隔てられて、個体群が孤立していると考えられます。これらの成果は、分布の南限のヤマネを保全する上で基礎となる分布状況を明らかにしただけでなく、自然度の高い国有林を守り、「緑の回廊」で孤立した森林をつなぐことがヤマネなど分断化された種の保全に有効であることを示すものです。

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