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シカの多くいる場所を推定してマップ化する新手法

 2012年2月20日掲載

論文名 A geostatistical approach to spatial density distributions of sika deer (Cervus nippon) (ニホンジカ生息密度分布に対する空間解析)
著者(所属)

近藤 洋史(森林総研 九州支所)、小泉 透(森林総研 野生動物研究領域)、池田 浩一(福岡県森林林業技術センター)

掲載誌

Journal of Forest Research DOI:10.1007/s10310-011-0326-x(外部サイトへリンク)

内容紹介

近年、ニホンジカによる枝葉の食害、剥皮、踏み付けといった森林被害は、野生鳥獣による全国の被害面積の50%を超えており、林業活動を阻害するばかりでなく、水源かん養や生物多様性の保全など森林がもっているいろいろな機能に悪影響を与えています。増えすぎたシカの個体数を適正な密度に管理するためには、どの場所にどれくらいのシカが住んでいて、どこで特に増えているのかを把握することが基本となります。しかし、生息密度がわかっている場所は限られるため、それらの地点での生息数をもとに数理モデルを用いて地域全体の生息密度の違いを推定することにより、生息密度マップを作成する手法を開発しました。この方法で福岡県英彦山周辺域の1999年度と2004年度のニホンジカの生息密度マップを作成した結果、この期間中に高密度地域と低密度地域が減少し、中密度地域が増加していることが明らかになりました。これは、1999年度に高密度だった地域ではその後の捕獲が効果を上げている一方、低密度だった地域では高い繁殖力によってシカが増加したためと考えられます。今回開発した手法により、シカの生息密度の分布をビジュアルに示したり、生息密度の変化を把握したりできるようになり、シカの個体数管理の指針を得ることができました。なおこの成果は、福岡県や大分県の特定鳥獣(シカ)保護管理計画に利用されるなど、実際のシカ管理に役立っています。また福岡県森林普及指導用資料にも用いられています。

※ 福岡県森林普及指導用資料 http://ffrec.pref.fukuoka.lg.jp/publica/pdf/sika.pdf(外部サイトへリンク)

※ この成果については季刊森林総研15号5-6ページに紹介されていますのでご覧ください

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