研究紹介 > 研究成果 > 研究最前線 2012年紹介分 > 琉球と九州をつなぐ島々;トカラ列島の森林性鳥類の詳細な記録
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2012年2月20日掲載
論文名 | トカラ列島の鳥類相 |
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著者(所属) |
関 伸一(森林総合研究所 関西支所)、所崎 聡・溝口 文男・高木 慎介(日本野鳥の会鹿児島)、仲村 昇(山階鳥類研究所)、ファーガス・クリスタル(マンチェスター大学) |
掲載誌 |
森林総合研究所研究報告、10巻4号:183-317(2012年) |
内容紹介 |
海に浮かぶ島々には、島ごとに異なる独特の生物相が見られます。こうした貴重な生物相を保全するには各島に生息し繁殖する種をできるだけ詳しく知る必要があります。トカラ列島は琉球列島とともに九州と台湾の間に連なる弧状列島の一部を形成しており、トカラ列島における繁殖期の鳥類分布に関する情報は、島嶼地域に固有の希少鳥類の保全を図る上でも重要です。この総説では、1990年代以降に行われた詳細な現地調査のデータを収録するとともに、過去の文献記録を網羅し、営巣記録や出現頻度の季節変化を精査することで、トカラ列島10島の繁殖鳥類相の特徴について明らかにしました。トカラ列島は、カラスバト、アカヒゲ、アカコッコ、イイジマムシクイなどの森林性の希少鳥類の生息地として知られていますが、カラスバトは10島すべてに、アカヒゲは8島、アカコッコは7島、イイジマムシクイは3島に生息することが明らかとなりました。イイジマムシクイは伊豆諸島とトカラ列島に固有の種で、2つの地域の間では集団間の分化が認められるとの報告もあり、トカラ列島でイイジマムシクイの生息する3島の森林は非常に貴重な地域といえます。これらの情報は、トカラ列島の希少鳥類の保護のみならず琉球列島全島の鳥類の保全に貢献することが期待されます。 |
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