研究紹介 > 研究成果 > 研究最前線 2012年紹介分 > 多雪地のブナ林伐採跡地が再び広葉樹林になるのに必要な条件を解明
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2012年5月14日掲載
論文名 | 広葉樹の天然更新完了基準に関する一考察 ―苗場山ブナ天然更新試験地のデータから― |
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著者(所属) |
正木 隆・佐藤 保・杉田 久志(森林植生研究領域)、田中 信行(植物生態研究領域)、八木橋 勉(東北支所)、小川 みふゆ(国立環境研究所)、田内 裕之(四国支所)田中 浩(森林植生研究領域) |
掲載誌 |
日本森林科学会誌、2012年1号 |
内容紹介 |
現在、天然更新完了基準書(伐採跡地が天然更新で再び成林するのに必要な稚樹の本数などの目安)の再検討が全国規模で始められているところです。そこで、ブナ林の天然更新完了基準再検討の参考とするため、苗場山ブナ天然更新試験地における、1978年の皆伐から30年間にわたる稚樹の消長を記録したデータを解析しました。 その結果、皆伐後30年目にブナやカンバ類などの広葉樹林が成林する確率は、伐採後4年目の稚樹の高さとha当たり本数(本数密度)、さらにササなど競合する林床の植生高で予測できることが分かりました。例えば、伐採後4年目でササなど林床の植生が除去(下刈り等で)されたとき、高さ50cm以上の稚樹の本数密度が5,000本/haの場合に広葉樹林が成林する確率は約6割ですが、その確率を8割に高めるには高さ50cm以上の稚樹が20万本/haも必要なことが分かりました。とくに、林床が多雪地特有の丈の高いササで覆われている苗場山では、ブナ林皆伐後の天然更新を成功させるためには、ササなど林床植生の除去が必須条件でした。 本研究は、多雪地のブナ林の天然更新完了基準の再検討に重要な知見となるものです。 |
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