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2012年5月28日掲載
論文名 | Within - and between-site variations in leaf longevity in hinoki cypress (Chamaecyparis obtusa) plantations in southwestern Japan (西南日本のヒノキ人工林における葉寿命のサイト内、サイト間の変動) |
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著者(所属) |
宮本 和樹(四国支所)、奥田 史郎(関西支所)、稲垣 善之(立地環境研究領域)、野口 麻穂子(東北支所)、伊藤 武治(四国支所) |
掲載誌 |
Journal of Forest Research、電子版:4月(印刷版:未定)、DOI:10.1007/s10310-012-0346-1(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
同じ樹種(常緑)でも葉の寿命が地域で異なることは古くから知られています。葉の寿命は森林の生産性等に関係するので、近年、欧米を中心に気候や土壌栄養などとの関係が調べられてきました。一方、日本のスギやヒノキの葉は、前年葉の先に新年葉が成長するので葉齢を判断するのが難しく、葉の寿命の地域差については未解明でした。 そこで、四国地方のヒノキ人工林を対象に、低標高域(320~370 m)と高標高域(850~970 m)各6林分で、林分葉量と落葉量から葉の平均寿命(林分葉量/落葉量)を推定した結果、低標高域約4年、高標高域約6年と標高差500~600 mで約2年異なることが明らかになりました。さらに、全国の文献データを加え、地域レベルで気候条件と葉の寿命との関係を調べた結果、葉の寿命に最も影響を及ぼす気候条件は気温で、寒冷なほど葉の寿命が長いことが分かりました。これは欧米の事例と同様の傾向です。一方、四国の各地域内での葉の寿命は土壌栄養条件による違いはなく、欧米とは異なっていました。 これらの結果は、ヒノキ人工林成長予測に役立てることができます。 |
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